「逆バネ」としての blog

自分で書いてて気付かなかったけど [id:rna:20040531#p2] のこれ:

評価の基準が各レスの評価の「絶対値」の総和になってしまい、良くも悪くも刺激が強い内容のスレが生き残るのが定めなので、板を一見すると極論・暴論が目立ってしまいがちです。

よく考えたら商業メディアの状況も似たようなもんですね。特にテレビや新聞、週刊誌あたり。視聴率や売上は刺激の絶対値をベースとした評価システムだしね(少なくとも今の日本では)。そういうメディアにとっては「俗情ガス抜き装置」に徹するのが一番合理的。なので、宮台氏がいくら blog マンセーしても 2ch 的なものにシンクロするのが商業メディアの性(SAGA)なのでは。

思えば宮台氏もマスメディアには絶望してたはずなので、あんな事を言いつつもメッセージの真の宛先はマスメディアではなくて僕たちなのかも。つまり、

  • 2ch やマスメディアはほっといて blog 書け!
  • blog をシカトするマスメディアを嗤え!
  • ついでに www.videonews.com をよろしく! (?)

ってことなのかな。blog がマスメディアや 2ch のノリから疎外された人たちの避難所にようになって、そこに「構築されたオピニオン」を集積しよう、と。もちろんメディアの状況が変わらない以上そういう言論が主流になることはないのだけど、お祭り騒ぎの後の反省会を取り仕切る「逆バネ」の言論として機能するはずだと。

アメリカは恐怖に踊る』アメリカは恐怖に踊る というアメリカのメディアのある種の「俗情ガス抜き」性を批判した本がありますが、こういう本があること、また、こういう本のベースになる報道資料が少ないながらも残されている事が「逆バネ」に当たります。そしてこの本がアメリカでベストセラーになった*1ことが、「逆バネ」の有効性を物語っているのではないでしょうか。

とはいえ、そもそも「構築されたオピニオン」の集積、というのが blog で本当にできるのか、というのは疑問もあるようです。ていうか「トラバ辿って色々見たけど blog つまんねーよ?」みたいな意見も散見され(切込隊長 blog とか)、blog が大衆化すれば結局 blog もダメダメになるんじゃないかという危惧はあるようです。そのへんまだちゃんと考えがまとまってませんが、とりあえず一人では面白い事が出来ない人は blog よりも 2ch に集まって 2ch のパワーを使って面白いことをするんじゃないか、要するに棲み分けが成立するんじゃないか、と見ています。


*1:マイケル・ムーアの映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』で紹介されたのも大きいかも、ていうか僕もそれがきっかけで買った。