テロとの戦い

櫻井さんのコメント([id:rna:20041103#c])について。僕は、テロは基本的に犯罪であり、犯罪として対処すべきで、「戦争」という形で対処するのは間違いだと思っています。「戦争」の論理で事を進めるせいで、罪のない人を一緒に殺してしまったり、しかも凶悪犯罪者にすらやらないようなむごたらしいやり方で殺してしまったり、社会インフラまで破壊してしまったり、そしてそれに対して賠償しなかったり、という理不尽が横行しています。そういうやり方が新たなテロリストの再生産につながるんだと思います。

テロに対しては「やっても意味が無い」事を知らしめるべし、について。そういう「合理的」な判断ができるくらいなら自爆テロなんてありえないと思うのですが。テロリスト達はテロをやめて意味のある人生を送れるんでしょうか? 家族や同朋が意味もなくロケット弾で吹き飛ばされても、そんな事は忘れておもしろおかしく暮らしていけるのでしょうか?

日本人は原爆落とされてもそうしてきたじゃないか、という反論があるかもしれません。でも、国家間の戦争と「テロ戦争」ではやられた側の受け止め方に違いがあると思います。国家間の戦争の場合なら国民としてのアイデンティティがあれば国家の負けを自分の負けとして引き受けることはできます。しかしテロ戦争で犠牲になる民間人は別にテロを支持しているわけでもテロ組織に対して帰属意識があるわけでもないのですから、なんで殺されなきゃいけないのか納得するのは困難なのではないでしょうか。

最後に海外でのテロ戦争では軍需産業は採算とれないのでは? という話ですが、産業界は別に戦費を負担しないので採算には関係ないかと。もちろん戦費を賄うために増税されれば別ですが、ブッシュのアメリカは逆に減税してるので無問題。アンナ・ポリトコフスカヤチェチェン やめられない戦争』(ASIN:4140808918)によると、ロシアの場合もチェチェンでの戦争の継続が新興財閥の利益になるため戦争が終わらないということです。