かぜ/インフルエンザと抗生物質

かぜやインフルエンザで医者に行くと解熱剤や咳止めなどと一緒に抗生物質をもらうことがよくありますが、抗生物質はウィルスには効きません

抗生物質は細菌の細胞内での活動を邪魔して細菌を殺したり増殖できなくしたりします。抗生物質は毒にならないように人間の細胞の活動は邪魔しないようになっているのですが、ウィルスは人間の細胞を騙して自分の複製を作らせることで増殖するので、ウィルスの増殖も邪魔しないということになります。ウィルスの構造は細菌とは全く違う(そもそも細胞ではない)ので抗生物質がウィルスに直接作用することもありません。

インフルエンザの原因はウィルスです*1。風邪の原因も大半はウィルスです。ではなぜ抗生物質をもらうかというと、細菌(肺炎の原因になる肺炎球菌など)の二次感染を防ぐためということのようです。が、実はあまり意味がないらしいです。

[wikipedia:抗生物質] より:

ほとんどがウィルス性である風邪には治療効果はなく、細菌感染の合併予防にも効果があるとの根拠はないとして、日本呼吸器学会は風邪への安易な抗生物質処方を控えるべき旨のガイドラインを発表した。

id:starfruits さんのコメントより:

風邪の原因の8割近くはウイルスによるものです、抗生剤を飲んでも効く確率は低いわけです。サンフォードなどのアメリカのガイドラインでは抗生剤は投与しないことになっています。
日本でも確か去年呼吸器学会から必要ないとの指針が(ようやく)でたはずです。

NHKためしてガッテン」★誤解していた! かぜ薬の新事実 より:

しかし、抗生物質に肺炎など感染症を予防する効果はありません。細菌による感染症にかかってから飲むべき治療薬なのです。抗生物質は、単なる軽いかぜの際に飲むものではありません。



idトラックバック:

*1:髄膜炎や肺炎を起こす病原菌の一種で「インフルエンザ菌(ヘモフィルス-インフルエンザ菌)」というのがありますが、これはかつてインフルエンザの原因と間違われたためその名が付いた細菌で、実際にはインフルエンザとは関係ありません。参照:ヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)感染症について(横浜市衛生研究所)