強制わいせつ8%が再犯 重要犯罪でトップ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050225-00000004-kyodo-soci より:

 「強制わいせつ・同致死傷」の罪で服役し、2001年中に刑務所から出所した者のうち、8・3%が03年末までに同じ罪で再び入所、警察庁分類の殺人など「重要犯罪」の中で再犯率が最も高いことが24日、法務省の全国統計で分かった。
 政府は子どもを狙った性犯罪者について、法務省から警察庁へ出所者の居住地などの情報を提供することで合意しているが、再犯の実態をさらに詳しく分析した上で、ほかの性犯罪者や放火などへの拡大も検討する方針だ。
 統計によると、01年の強制わいせつ・同致死傷の出所者は242人で、このうち20人が同じ罪で再入所した。別の性犯罪では「強姦・同致死傷」が450人のうち13人が再び刑務所に入り、再犯率は2・9%、「強盗強姦・同致死」は43人のうち1人で2・3%だった。
共同通信) - 2月25日2時28分更新

強制わいせつより強姦のほうが出所者の数が多いのですが(検挙人員だと逆になる)、執行猶予の分が入らないからでしょうか。このあたり、一般にイメージされる再犯率とはズレがあるかも。で、犯罪白書で執行猶予率を見たら「強姦等」が52.8%なんてなっててなんだこりゃーと思ったら、「強姦等」には「強制わいせつ、公然わいせつ、わいせつ文書頒布等を含む」とのこと。罪の重さも保護法益も全然違うものをいっしょくたにするなよ。というわけでよくわかりませんでした。

とりあえず8.3%だとミーガン法みたいな大雑把な対策は正当化できないと思います。3年間の統計なので期間を広げると多少は上がるでしょうが、それでも今まで言われてきたような高い再犯率にはなるとはちょっと考えられない。

なお、警察庁定義の「重要犯罪」は、法務省定義の「凶悪犯罪」である「殺人、強盗、放火、強姦」に「略取・誘拐、強制わいせつ」を加えた概念。元の統計が不明なのでわからないのですが、他の「重要犯罪」の再犯率はどうなのか、二位以下とどのくらい差があるのか気になるところ。あと、再犯予測とか再犯性評価の文脈だと、この統計は将来の犯罪者を含む母集団からサンプリングしたことになるので、比較の際には統計的誤差を考慮して有意差があるかを見ないといけないと思います。

追記: 「再入所率」らしい。

上の統計は「再入所率」だと梅太郎さんよりご指摘。「再犯者率」ほどナンセンスな数字ではないので(母集団がずれてるだけで考え方は「再犯率」と同じ)参考にはなります。

執行猶予が含まれない件ですが、再犯では普通執行猶予が付かないのはいいとして、初犯で執行猶予が付いた人の再犯がカウントされてないので、「再犯率」とは多少のずれはあると思います。数値が上がるか下がるかはわかりませんが。

これも梅太郎さんに教えて頂いたのですが、強制わいせつの執行猶予率は平成14年版の犯罪白書の特集(第5編)に載っていました。第一審の状況ですが、強姦で 25%、強制わいせつで 70% 弱が執行猶予になるようです(平成13年)*1。やっぱり微妙な統計だなぁ。


*1:殺人(20%)、強盗(10%)、傷害(60%)、暴行(50%)、脅迫(70%弱)、恐喝(60%)という中で一番執行猶予が多いのが強制わいせつなんですね。ちょっと意外。