ダライ・ラマが日本に来てる

知らなかった。

かつてチベット問題は日本ではマイナーというか日本のマスコミではタブーみたいになっていて、僕が知ったのは89年頃にたまたま父の本棚で見つけたダライ・ラマの自叙伝『チベットわが祖国』*1を読んだのが最初。

日本と欧米との認識のギャップを知ったのは伝統医学関係の学会に行った学生から聞いた「欧米の参加者から口々に日本人はチベット問題をどう思うんだと問いつめられて困った」という話から。インターネットが普及しだした96年頃に「チベット」で検索かけてもチベット問題を扱うサイトは一つも見つからず、それどころか旅行代理店のサイトに「中国共産党によるチベット解放後…」なんて書いてあって鬱だった。

もっとも今回の来日ではチベット問題には触れない(触れられない)ようです。「ダライ・ラマ14回目の来日 岐路に立つチベット」(東京新聞)より:

「思いやりと人間関係」をテーマとしたこの日の講演でダライ・ラマは「執着や嫌悪の感情が世界で困難な状況を引き起こしている」と説いた。しかしチベット問題についての言及は一切なかった。ダライ・ラマを「分裂主義者」とみなす中国に配慮し、日本政府は政治活動をしないことを条件にビザを発給していることも背景にある。

ところで日本では右派の知識人とかが反中国の文脈でチベット問題に言及することがあるけど、そういうのってダライ・ラマ的にはかえって迷惑じゃない? 交渉相手の敵に味方になられても話がややこしくなるだけだし。常任理事国は諦めるからチベットダライ・ラマに返してやってくれとでも言うのなら別だけど。



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*1:亜細亜大学アジア研究所から出た単行本。今は中公文庫から出てるみたい ASIN:412203938X