木村カエラ「INVENTOR」を聴きながら

上の流れで言うけど、木村カエラの「INVENTOR」って曲(アルバム『KAELA』に収録)があるんだけど、あれも微妙なんだよね。

新しいものをどんどん造る頭の中はどうなってるの?
バカな私の頭の中じゃ考えも付かないこと
いつも困った時助けてくれるすてきな発明家たち

造り出す人の知恵は素晴らしいもので
本当にあなたを尊敬できる
名誉や見栄だけじゃないはず

発明家さんたちはみんなを喜ばせようとしてくれてるんだよね、ありがとう、みたいな歌なんですが、おだてすぎというか、そんな神様みたいな素晴らしい存在だと思われてしまうことで、人間的な部分がスルーされてるようで辛くなる。

もちろんこれは、あなたたちにはどこかに高貴な動機があったはずだからそれを忘れないで、というふうに受け止めるのが正しい態度なんだろう。"without users, there is no reason for the Project." なんて言葉もある*1。確かに誰かの役に立ちたい、誰かに喜んで欲しい、という気持ちを大切にするべきなんだ。

でも、誰に? 誰でもいいの? オープンソースの定義では、オープンソースライセンスは誰かを差別的に扱ってはならないとされている。「(ソフトウェアの)進化の過程から最大の恩恵を引き出すため」という功利的な理由が掲げられているけど、根本には人類全体の幸福を目指すという考え方があると思う。そうでなければ「最大の恩恵」は相対的なものでよくて、コミュニティの敵に対しては恩恵を与えないことで自分たちへの恩恵を最大化できるのだから。

しかし、上に挙げたようなことは理想論。なかなか達成できないことだからこそ、敢えて掲げられた目標であり、当たり前だと思ってはいけない。技術者は聖者じゃないし。

ママが新しい手料理を作って
喜ばせようとしてくれる気持ちと
同じだと思う

俺はあなたのママじゃないよ!

ていうか、むしろ自分の作ったものを子供みたいに思う技術者の方が多いんじゃないかな。ステージママみたいな気分で、子供が人気者になるのは嬉しいけどキモいファンが付くのはウザい! みたいな(参照: [id:rna:20050416#p3])。


*1:Apache 系のプロジェクトのガイドラインに出てくる。例えば これ