生まれてすみません

エレーヌ・グリモー『野生のしらべ』いま半分くらい。エレーヌ15歳。男の視線*1に対する嫌悪がこれでもかというくらい書かれていて凹む。

男たちは私に向かって、あのぞっとするような微笑を投げかけるようになった。「ぞっとする」というのは、そこにはなんの優しさも甘さもないからだ――それは汚れたキャンディのようにぺたぺたと貼りつく微笑だ。つまり淫欲の視線にはさまざまな形があるということだ。あるものは嘲笑的、またあるものはより臆病――けれども、その下にはなにか猥褻なものがある。私は官能の火花を散らす視線と出会った。禁断の果実をあきらめ、それを味わうことを夢見ながら、自分の欲望という猛毒に日常的におかされている人間の、果てしのない憂鬱の視線とも出会った。けれども、世界中のすべての娘たちにとってと同様に、私にとっても、自分が対象となっているこの輪舞と、こちらに向けられたぎらぎらの目つきとには、なにか身を凍らせるようなものがあった。なぜならば、そこからは幼稚で野蛮なエッセンス、原子の純粋の暴力、巨大で獰猛な黒い力の影が浮かび上がってくるからだ。
エレーヌ・グリモー『野生のしらべ』p135

(色々書きかけたが削除)

いいや、もう。はいはい。禁断の果実をあきらめ、それを味わうことを夢見ながら、自分の欲望という猛毒に日常的におかされている人間が来ましたよー。わーい。


ごめんなさい。

今は違う、この気持ちは違う、とか言っても誰も信じてくれないんだろうな。自分でも信じられないし。

*1:「ときには女性にも見出す」そうだが。