異常気象と温暖化

NHK スペシャル「気候大異変」へのコメント:

# rna 『ドキドキするのはわりと普通の反応だと思いますよ! 第一回だけちらっと見たんですが、肝心の異常気象と温暖化の「因果関係」については特に立証してなかったような。録画してあるからそのうち見ます。第二回は完全に見逃しました。シミュレーションって100年後の科学技術の進歩も予測してるわけですか?』
# こんちゃん 『因果関係はすでにIPCCで実証されています。
「地球の健康診断書に」に分かりやすい図解があります。http://www.eco-fukui.net/04infom/index.html
今後の日本の方針は
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/energy/siryou/dai30/30siryou4.pdf
# rna 『100年後の事ではなくて最近の気象現象と温暖化の関係の事を言っています。番組ではそれを関連付けるような描写があったと記憶しているのですが。IPCCの件は今日の日記でコメントします。』

未だに録画を見れていませんが、とりあえず IPCC の報告に関して。

○異常気象の長期的な変化傾向と将来予測(日本)(1.3、1.4節)(気象庁 異常気象レポート2005 概要版) によると、IPCCの第三次報告(2005)では温暖化と「最近の」の降水現象と因果関係について、

中・高緯度域の大部分、特に北半球において、年総降水量に占める大雨や極端な降水現象による降水量の割合が増えつつある可能性が高い

としているそうです。これに対する気象庁の見解は、

日本の大雨の出現数の長期的な増加傾向には、地球温暖化の影響があらわれている可能性がある。しかし、その影響が大雨の出現数の増加にどの程度あらわれているのかについては現時点では未解明である。

というものです。ただし台風やハリケーンなどへの温暖化の影響は別扱いです。

IPCC第三次評価報告書〜第一作業部会報告書 気候変化2001 科学的根拠 政策決定者向けの要約(気象庁訳) によると、

に関して、過去から現在まで(20世紀後半)は観測されていない、または十分なデータが存在しない、としており、将来の予測については「いくつかの地域で可能性が高い」(実現性が66-90%)としています。

ちなみに、

温暖化と台風の関連について神保哲生山形浩生がもめてた件、あれからどうなったのでしょう?

追記: 日本の台風について

気象庁「異常気象レポート2005 概要版」の台風の長期変化傾向を見ると、発生数、強い台風の発生数、発生位置(台風の規模と関係あり)、に長期的な変化傾向はないということです。

2004年は強い台風*1の数が極端に多かったため上の神保氏(やUNEP)のような発言があちこちで聞かれましたが、2005年の強い台風の発生個数は13個*2で平年並み。

*1:気象庁の階級分類で「強い」以上(最大風速33m/s以上)の台風。

*2:「デジタル台風」(国立情報学研究所)の統計より。最大風速分布で64knots以上が強い台風。