ホリプロ社長の年度末大放談について

物議をかもしているこれ、

ツッコミどころ満載の一方で、ある意味まともな事も言っているのだけど、それもなんかズレてる気がするんだよね。

kanose さんも言うように、堀社長の「ネット事業者は、作ったインフラにのせるものがないから、テレビ番組が欲しいだけだろう」というのは文字通りにとればその通りだろうし、kanose さんの言う「ネット業界だと、作り手を育てる意識ってほぼゼロな気がする」というのもそうかもしれない。でも、それが問題なの? という気もする。

第一に、メディアがコンテンツ産業を育てる、つまりコンテンツ産業がメディアに依存するのはそんなにいいことなのかと。調査報道とメディアホリエモンがコンテンツ(ニュース)とメディアの分離を主張している件を紹介したけれど、垂直統合の弊害から自由になれるチャンスがネットの強みとも思うので、既存のマスメディア的でないことがすなわち批判されるべきことだとは思わない。

第二に、ネット産業にとって重要なのはコンテンツへのアテンションではなく、ユーザのコミュニケーションなのではないかと。ネット側がコンテンツを欲しがるのはコンテンツそのものが欲しいのではなく、コンテンツを媒介としたコミュニケーションの需要を満たすため、という側面が大きいのではないか。

極端に言えばコンテンツはコミュニケーションの「ネタ」に過ぎない。だからコンテンツのプロから見れば低クオリティなコンテンツでもネットでは大いに話題になりブームさえ引き起こす。ネットの帯域幅がもっと広がれば単純なコンテンツ配信メディアとしての使い道も広がるかもしれないが、現状は(そしておそらく近い将来においても)こういったものだと思う。

こういう状況ではネット産業側に資本を投じて作り手を育てるインセンティブがあまりない。ネットは地上波テレビ放送のように限られたチャンネルにアテンションが集中するわけではないので、大ヒットを狙って大量投資というのはやりにくいというのもあると思う。