歴史修正主義は誰のせい?

正月に書いたエントリ歴史修正主義の手口についてにコメントがありました。ブクマが増えてたりするけどどっかに貼られました?

以下 TT さんのコメントに対するお返事。

例えば、原爆や東京大空襲を否定するアメリカ人はいません(いるのかもしれませんが、少なくともそう言う本にはお目にかかった事がないです。正しかったという人はいますが)。
歴史修正主義の手口について - TTさんのコメント

それは当たり前で、そもそも原爆投下は世界にその軍事力をアピールするためでもあったわけだし、原爆開発に参加した科学者たちも誇りを持ってやっていたわけです。事実自体を否定する動機がありません。だから原爆や空襲についてはその正当性が争点になります。*1

一方で南京事件は当時にあってすら不祥事だったのです。報道規制もあり戦時中は国民にはほとんど知らされませんでした。慰安婦にしても軍隊内では公然のものとしても、内地の国民にはおおっぴらには知らせたくない事柄として扱われていました*2

では、どうして日本人の間で南京大虐殺否定や、ドイツ人の間でホロコースト否定が出るのか? それは、いつでもどこでもユダヤ朝鮮人、中国から「謝罪するニダ、謝罪するアル」の大合唱に襲われるからです。60年も前の出来事に、ここまで粘着されたら誰だって嫌になります。無かった事にしたいと思いますね。
歴史修正主義の手口について - TTさんのコメント

それは謝罪が求められている文脈を把握してないんじゃないでしょうか。

せっかく公式の場では謝罪しても、しばしば与党の政治家などにそれを反故にするような、謝罪の真意を疑われてしまうような言動があって、それに対するリアクションとして謝罪要求がでてくるというパターンがほとんどでしょう。

南京事件については否定論の長い歴史が先にあってのことですし、慰安婦問題に至っては90年代までほとんど知られてなかったのです。そして慰安婦問題の否定論も同時期から出てきており、「河野談話」はあったものの、市民レベルでも政治レベルでも否定論や懐疑論や擁護論がかなりの勢力を持っているのが現状です。「無かったことにしたい」以前に「あったこと」に対する当事者意識が定着していないのです。

そういう意味で南京事件慰安婦問題も60年前に「終わったこと」ではなく現在進行形の「問題」なのです。

そもそも、日本政府は合った事を認めていて、それが十分か不十分かはともかく条約を結んで賠償代わりのODAや経済協力のためのお金を、当時の日本からすればかなり無理して払っているのです。朝鮮人や中国人の賠償請求は、本当に何とかして欲しいですね。
歴史修正主義の手口について - TTさんのコメント

賠償請求は戦争犯罪などの個別の事例について直接の被害者が起こしているものです。確かに国家間の条約等で表向きは決着済みなのですが、現実には互いに加害や被害の実態を把握しないまま政治的に「手打ち」にしているわけですから、当の被害者は納得いかないでしょう。

償うべき罪がなんなのかが曖昧なままの謝罪や賠償なんて被害者にとっては無意味です。よく言われることですが、こんなたとえがあります。ある女性がレイプされたが、女性の父親が加害者の父親から金をもらって手打ちにしてしまった。そんなことで女性が納得するのか? 女性の尊厳は回復されるのか?

あと「当時の日本からすればかなり無理して」と言いますが中国や韓国へのODAが始まったのは日本の高度経済成長期に入ってからです。実際に額を見てもGDP比で見ればごくわずかですし、大半は貸しているのです。低利ですが利子もとっています。

彼らは本当に日本のせいで苦労したのでしょうが、私達若い日本人から見れば、単に鬱陶しい物乞いにしか見えず、同情さえわかず、可能であるなら殴ってやりたいほどです。
歴史修正主義の手口について - TTさんのコメント

あなたに少しでも日本人としての誇りがあるのなら、そんなみっともないことは言わないでください。


*1:原爆投下の正当性の根拠に対する疑惑については以前のエントリスチュワート・L・ユードル『八月の神話』で少し紹介しました。

*2:参照:永井和日本軍の慰安所政策について