土井敏邦『ガザの悲劇は終わっていない―パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕』

インタビューを淡々と繋げた本。イスラエル軍に家族を殺された人、イスラエル軍に畑や工場を瓦礫にされた人、ハマスにスパイと疑われて家族を殺された人、ハマスの幹部、イスラエルの市民、イスラエル平和運動家、ガザ復興に携わる援助関係者。

著者はパレスチナ側に同情的なドキュメンタリー作家。イスラエル市民へのインタビューでは相手に反論したりもしている。相手は全く動じないのだが…

やはりイスラエル市民へのインタビューが読んでいて一番キツい。

人びとは理解しなければなりません。ここはイスラエルなんです。こんな状況は続けていられません。だからガザで多くの人が殺されるんです。攻撃を止めるために、彼らは学習しなければなりません。悪い人間は、悪いことをすれば罰せられる。私たちは彼らを罰しているんです」
(イスラエルのTシャツ店の女性従業員(22歳), p45)

(初出:メディアマーカー)