自民党の経済政策について

DM見に行った時にメンションに気付いたので。

これについては twitter やブクマでは何度も何度も言及してるはずなんだけど、やっぱりつぶやいてるだけじゃ全然伝わってないんだろうね。

安倍総裁が掲げるリフレ政策そのものには概ね賛成です。しかしリフレ政策は自民党の政策の中ではむしろ異質で、安倍総裁その人にとっても本心では優先順位の低いものであろうと思っています。というか本来なら彼が総理の時に最優先でやってるべきでしょう。教育再生だのなんだのにかまけてるヒマなんかなかったはずです。

自民党の経済政策に対する僕の評価は一言で言うと「アクセルとブレーキを同時に踏む」もので、うまくいってもリフレ政策の意義が過小評価されかねず、いずれ政治的な圧力に負けてひっくり返されてしまう可能性すらあると思っています。

自民党の「政権公約」のトップには確かに「経済再生」です。しかし消費を冷え込ませる消費税増税を撤回する様子はないし、効率悪くて利権の温床になりそうな産業政策など、経済にブレーキをかける政策も同時に掲げています。しかも肝心のリフレ政策は党の方針というよりは安倍総裁の持論みたいな扱いで、その一点に賭けるには不安要素が多すぎます。

そもそも安倍総裁の悲願は時代錯誤の憲法改正(参照:++ ヤバすぎだ、と話題に・・・自民党 日本国憲法改正草案対照表 2012版 ++)など極右的な政策の実現であり、リフレは選挙を戦うための道具に過ぎないと見ているフシがあります。「リフレと憲法改正のどっちが大事なの!?」と言われたら「そんなこと言わせてごめんな…」などとは言わずに(言ってほしくもないが…)迷わず「憲法改正ッ!!!」ってあの甲高い声で叫ぶと思うな、あの人は。

でも、いちばん怖いのは様々な懸念を乗り越え経済政策を最優先で実施して大成功させた時、さてそれではメインディッシュでございますと、極右政策を目の前に出された時にどうなるかってことです。

これについては既に松尾匡氏が話題にしています。

安倍さんはおそらく選挙で勝って総理になりますが、一連の発言の経済政策をとれば、間違いなく景気は回復します。
 冒頭に、ドイツ社民党が均衡財政にこだわって大不況を悪化させ、ナチスを招いたということを書きましたが、この歴史には続きがあって、政権についたヒトラーは、大規模な公共事業と軍需で不況を克服して完全雇用を実現し、国民から盤石の支持を得ることになります。
 今、左派やリベラル派が、安倍さんの経済政策をののしればののしるほど、いざこれが成功して好景気がもたらされたあかつきには、彼のカリスマ性が高まることになるでしょう。そして、「ハイパーインフレ」「金利暴騰」「国債暴落」などと妄想を垂れ流していた勢力への大衆の信頼は失墜します。
 好景気実現の成果をひっさげて、盤石の支持率のもとで安倍さんが解散に打って出たりしたならば、その先に待っているのは「改憲」「国防軍」「核武装」…。  このときこれに立ちはだかるべき勢力が生き残っているでしょうか。
欧州左翼はこんなに「金融右翼」だぞ〜(笑)

だからヤツらに手柄を渡すな、左派は手柄を横取りしろ、って言ってたんですけどねぇ。。。

別に少数のリフレ派に政権の中枢を担ってもらおう、なんてことは考えてません。リフレ政策の必要性が広く認められて多数決でリフレ政策が選択されるのを望んでいます。ていうか、そうじゃないと内閣変わるたびひっくり返されたんじゃ意味ないですから。
もちろん、リフレが成功すればするほど、リフレ派の中枢の人にとっては、それが「手柄」になり、その人たちの「裏の目的」達成を容易にする、という危険性は考えられます。
ですが、それなら「裏の目的」を阻止したい人たちは、リフレに反対するのではなく、早めにリフレにコミットして「手柄」を奪い取るなり薄めるなりするのが正解じゃないんでしょうか。
コメント - 金子洋一氏に投票した件 - 児童小銃

今年の8月、当時燃え上がっていた生活保護バッシングや消費税増税に反対する官邸前デモ水曜夕暮れ官邸前。 《このまますすむと困っちゃう!!》アクションが始まり、僕はこのデモにほぼ毎回、リフレ政策を訴えるプラカードを持って参加していました。

赤旗が毎回取材に来たりと共産党色の強いデモですが、そういう場でこそリフレ政策のことを知って欲しい、ていうか、官邸前を行き来する官僚の人とか、こういうデモで「リフレ」とか見たらびびるだろうな、びびらせたいな、みたいなイタズラ心もありました。

デモの横断幕

政治デモへの参加はこれが初めてです。それで何が変わるという期待も特になかったのですが、それでも何もしないではいられない、という気分でした。せめてリベラル色が強いポール・クルーグマンの論説や、リフレ派の中では再分配政策への目配りが目立つ飯田泰之さんの著作に触れる機会になれば、それでいいかな、とも。

関係者には「いつも来ているリフレの人」として認識されて、それなりに受け入れてもらっていたと思います。何人かの一般参加者はリフレ政策に興味を持って声をかけてくれたりもしました。はてなのリフレ左派(?)の何人かも一緒に参加してくれるようにもなりました。

僕の作ったリフレプラカード

メインテーマの「生活保護バッシング反対」「社会保障縮小反対」「消費税増税反対」といった主張以外については、デモでは色んな人が色んな主張をしており、必ずしも僕やリフレ派で一般的な主義主張とは一致しないものもありましたが、メインテーマを共有できていれば互いに発言を尊重するような雰囲気がありました。

意に沿わないシュプレヒコールは沈黙して手だけ挙げる、ということもしていましたが、良くも悪くもアットホームな雰囲気で論戦みたいなことにはなりませんでした。自分でも不思議なくらい、同じ場を共有したという事実性の前で、思想的な差に基づく忌避感が薄れ、淡い仲間意識すら感じるようになり、争うよりは許容し合う空気に浸っていた気がします。

みんなの主張を連続旗にするという企画で頼まれて作ったリフレの旗

おかげで赤旗シュプレヒコールをシャウトする僕の写真が載るという成果(?)もありました*1。主催者からマイクを回されたりもして、リフレ政策の基本的な考え方を説明したり、飯田泰之さんの本を紹介したりしましたが、最後に参加した11月初めのデモでは残念ながらマイクパフォーマンスはできませんでした。

この時は、自民党のリフレ政策ではダメだ、という、この記事の冒頭に書いたような内容を喋るつもりだったのですが、安倍総裁の動きが活発化していた時期で既に警戒されていたのかもしれません。いつものプラカードを厳しい目で見つめる参加者もいました。

デモは当初毎週水曜日だったのが10月からは毎月第一水曜日になりました。今月は5日です。選挙を前にして、いつものアットホームな空気のままでいられるのかどうか気がかりですし、もう僕が何か言っても何も変わりはしない状況ではありますが、事情が許す限り参加したいと思っています。


*1:プラカードの「リフレ政策」の文字が入ってる部分が写ってなかったりしてましたが…