猫と人の友好関係とは

『ネコの行動学』ASIN:4886223036 には猫と人間はネコ同士以上に仲良くできるという仮説が。平たく言うと大人の猫は人間の前では子猫に戻れるということのようです。以下 p292 より:

野外では交尾期以外は同種仲間を避けたり、追いはらうことすらある、見たところまったく社会的な接触を必要としないように見える動物が、このようにして人間と接触することができるのはなぜか、説明するのは難しい。推測すれば次のことがいえるだろう。(中略)おとなのネコどうしの付き合いは、なわばりの防衛、防御、交尾相手をめぐる競争(ライバル関係)、交尾といったことばかりでいっぱいである。だから、他のおとなネコがそばにくればかならず、こうした衝動的行為のどれかが非常に強く引き起こされるので、子ども的な衝動的行為の気分のなごり(本当はまだ存在している)は「発言」するチャンスがないのだ。(中略)

ところが人間はネコにとっては、ネコ的な付き合いが出来る程度には「同種仲間」であるが、防御など、おとな特有の反応を絶対に引き起こすほどには「ネコ的ではない」。それで人間がネコのあつかい方をいくらか心得ていて、必要な感情移入ができさえすれば、ネコの子ども的衝動行為への気分のなごりに訴えることができ、それを新たに活気づけさえするのである。(中略)

このような関係は、ネコどうしの間では決して起こらないかもしれない。(中略) 人間の中にも、いつも他の人を侮辱するようなことをしてしまうくせに、なぜ友達がいないのかを聞かれると、おどろいたように「自分は友達がとても欲しいんだけど、だれもかれもいやなやつばかりなんだ」と答える偏屈な人間がいるが、ちょうどネコは、そのような人が置かれているのと同じような気分の状態にあるのだ。(後略)

猫の中の人も大変です。

どこまでコミュニケーションできているのかよくわからないので、本当に僕とこの猫は仲良しなんだろうか? 実は餌の切れ目が縁の切れ目だったりしないか? とか悩むこともあるのですが、動物行動学的にはそうでもないということのよう。