なぜ人を殺してはいけないか

社会学的な説明(それでは社会が成り立たない云々)ならいいのかと思ったらそれもダメみたいね。でも社会学は倫理でも法律でもなくてそれらが成立する必然性の説明でしょう。そういうのもダメとなると。。。

[id:michiaki:20050817#1124285128] より:

そういうものがあるのかないのかわかりませんが、倫理の言葉が届きにくい昨今、「人を殺すことは、端的に損である」と納得させることができる言説がもしあれば、と、わたしは考えているのです。

だけど「社会にとって端的に損である」という社会学的な説明は NG ってことなら、結局「あなたは人を殺してはいけません、なぜならあなたはトータルでは必ず損するからです」っていう説得をする際に、「あなた」を特定せずに万人に対して使い回せる万能の理屈はあるのかってこと? 無理じゃないでしょうか。反例がいくらでもあるから。

ちなみに、元々人間はいくつかの条件が揃わなければなかなか人を殺せない生き物らしいです。このことは特に市民が武器を取る近代的な軍隊では深刻な問題で、軍隊の歴史は人殺しに対する抵抗感を軽減する技術の発展の歴史でもあったそうです。ただしほっといても1割くらいの人は必要とあらば平気で人を殺せるんだとか。以上『戦争における「人殺し」の心理学』(ISBN:4480088598)より(参照:[id:rna:20040811#p2])。

その1割については諦めるなら、自分が人を殺すということをリアルに想像させるように誘導するような語りで説得可能だと思うけど(これは少年犯罪の再犯防止教育にも使われてたかな)、そういうのは「情に訴える」で NG なんですかね。あと、やっぱり残り1割についてもなんとかしなくちゃだめ? 実用的にはこのへんが落としどころになると思うんだけど。