交通事故の瞬間を映像で記録する「ドライブレコーダー(ドラレコ)」で発光ダイオード(LED)式信号機を撮影すると、信号の光が写らない場合のあることが、日本自動車研究所(茨城県つくば市)の調査で分かった。LEDは目に見えない速さで点滅しており、ドラレコの撮影間隔と点滅間隔が同調すると、「滅」ばかり連続して写るためだ。導入が進む新技術に意外な盲点があった形で、同研究所は「事故原因の究明などに支障が出る」と訴えている。
(中略)
問題の解決には、LEDの電源を直流化するか、ドラレコの撮影間隔を変える必要がある。
しかし、ドラレコ導入を呼び掛けてきた国交省は「汎用カメラが使えず、ドラレコの価格が上がる」として、撮影間隔の変更をメーカーに要請することには及び腰だ。信号機を所管する警察庁も「ドラレコのために信号機があるわけではない。電源の変更は考えていない」と言う。
これに対し、同研究所安全研究部の久保登研究員は「ドラレコ、LED信号機の普及が進んでからでは手遅れになる」と、行政の対応を求めている。
LED信号機:ドライブレコーダーに同調 新鋭機器に盲点(今日の話題:MSN毎日インタラクティブ)
一次情報はこれっぽい。
- ドライブレコーダ映像に対するLED信号機の影響[PDF] (自動車研究 2006年7月号)
対策とその問題点をまとめると、
- ドラレコの fps をずらす→それでも数コマに1枚消灯。決定的瞬間が写らない可能性が。
- ドラレコのシャッタースピードを遅くする→画像がぶれるのでよくない。
- ドラレコをインターレース方式にする→早い動きで画像が二重になるのでよくない。
- LED信号機を直流化する→回路の信頼性の低下、改修のコストの問題がある。
最後の信号機の直流化が理想的とのこと。既設の信号機には改修コストがかかるけど、現状はまだ9割の信号機が電球式なので、その置き換えにはまだ間に合うと。
そういう意味では警察庁が頑なな態度なのが謎。警察と標識や信号機の業者との癒着ってネタは『野望の王国』で柿崎署長(当時)がぼやいてたけど、ほんとにあるのかなー。
こういうのはどう?
信号機の方をインターレース表示にすればいいんでないのって思ったけど。半分は電源の位相ずらすの。半分はそのままだから信頼性はそれなり。でも直流化よりコストはかかっちゃうか。。。どっちにしろ信号変える気ないって言われたらどうにもなりませんが。
LEDの基本
ていうかLED信号機が交流の周波数の倍の周波数で点滅してるって知らなかった。LEDは直流って頭もあったけど、最近は家庭用電球ソケットで使えるLED電球ってのもあったよな、そういえば。検索してみたら以下のサイトが基本的なことが分かりやすく説明されていてよかった。
- LEDの基本特性(Aitem-Lab)
ポイント:
- LEDの明るさは電流で決まる。電圧では変わらない。
- LEDに流せる電流には上限があり過電流では壊れる。温度が上がると上限が下がるので注意。
- 電球と違い単純に電源をつなぐと壊れる。電圧の誤差に対して電流が大きく変わり、過電流になりやすいため。
- 壊さないためには電流を一定に保つ定電流回路(または電流制限回路)が必要。
- LEDは普通のダイオードと違って逆方向の電圧には弱い(耐電圧が低い)。耐電圧を超えると大電流が流れて熱で壊れてしまう。
- LEDを交流で点灯する場合、そのままだと逆電圧で壊れるので注意。
交流点灯の方法にはダイオードを逆向きにLEDと並列でつなぐ方法が載っていましたが、前述の「自動車研究」の報告によると、LED信号機では普通に全波整流してLEDモジュールに直結しているとのこと。