- 作者: スチュワート・L ユードル,Stewart L. Udall,紅葉誠一
- 出版社/メーカー: 時事通信社
- 発売日: 1995/07
- メディア: 単行本
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久間防衛相の「しょうがない」発言が問題になった頃の常石敬一氏のブログ*1で知った本。8月6日までに読了したかったのだが、まだ半分も読めてない。やっと第一部読み終わったところ。でも、ここまででも知らなかった事が沢山。
タイトルの「八月の神話」(The Myths of August)というのは原爆投下とそこから始まったアメリカの原子力政策の欺瞞を指しています。第一部は原爆投下の話。ユードルは「マンハッタン計画はナチスより先に原爆を作るためのものだった」「原爆投下は戦争終結を早め犠牲者を減らすためだった」「そしてその通りになった」というよく言われる話が神話に過ぎないと主張しています。
つまり、ナチスには原爆に興味がなくその能力もないことをアメリカは当時既に知っていたし、原爆投下の目的は原爆を実戦で使うこと自体が、また原爆を(それも複数)持っていることを世界に知らしめることであり、それ故アメリカは和平交渉のチャンスがあるのを知りながらスルーしていたし、広島原爆が日本の降伏を早めたという証拠もない(ソ連参戦などの要因がある一方、降伏決定と広島から報告が上がってきたタイミングが微妙)としています。
他に興味深かったのは、アメリカは人道主義を掲げヨーロッパ各地に対しては都市爆撃を避けていたのに対し、日本に対してはそんなことはお構いなしだったこと、しかもその矛盾を自覚した上で方針転換を誰がどこで決定したのかわからないように隠蔽されているフシがあるという話。あと、軍人は原爆投下に反対していたという話。
*1:神話に惑わされる防衛相。なお、プロフィールに記述がなく一般に知られた公式サイトからのリンクもないため、本当に氏のブログなのかよくわからなかったのだが、本当っぽい。