犯罪と失業率

ほんとにメモだけ。

  • 「交通関係業過を除く一般刑法犯の認知件数」は窃盗や詐欺などお金目当てが大半(7〜8割くらいか)なのでマクロ経済と相関する失業率と相関するのはある意味当たり前。
  • 管賀江留郎氏の反論:「検挙率が変わるほど大幅な恣意的操作がなされている認知件数がどうして相関するのか?」
    • 茨城県の件は全国平均との乖離が指摘されているくらいなので全国的な動きとしてあったとは思えない。
    • 「2% 上げたことも」というのは検挙率を2ポイント上げたという意味? だとすると、
      • 検挙率 + 0.02 = 検挙数 / (認知件数 * x)
      • x = 検挙率 / (検挙率 + 0.02)
      • 検挙率 40% 〜 50% 付近では認知件数を 4 〜 5% 程度減らしたことになる。
    • あんまり影響ないんじゃない?
      • 茨城県の「交通関係業過を除く一般刑法犯の認知件数」は全国の 1.5% ほど。
      • 仮にこんなのが数県あっても全国の件数の誤差は 1% 以下。
      • (2008-01-18 追記) コメント欄より: http://www.eonet.ne.jp/~0035/hanzai.htm
        • 上で挙げられてるより大規模に認知件数が過小申告されてたらしい
        • 2000年以前と以後とは分けて分析したほうがいい?
  • 管賀江留郎氏の反論:「基礎となる人口が変化しているのに、「率」と「数」がどうして相関するのか?」
    • この期間人口は単調増加。*1
    • 確かに犯罪発生件数は人口と相関しそう。
    • しかし失業率も労働力人口と相関する。
      • 労働力人口は1998年あたりまでは単調増加。その後緩やかに減少。*2
  • 管賀江留郎氏の反論:「どうしてタイムラグがあるのか?失業保険が切れる数ヶ月ならともかく何年も。」
    • もともと「景気と犯罪の関係」の傍証としての分析。
    • 失業するから犯罪者が増える、という話ではない。
      • (2008-01-18 追記) コメント欄より: 「失業してから犯罪が起こるまで」って書いてるし元ネタの大竹論文は「失業者が犯罪を起こす」というストーリーじゃないか?
        • その表現はスルーしてた。失業率が上がってから犯罪が増えるまでかと思ってたけど、筆が滑ったのでなければまずいかな。
        • 大竹論文は読んでみたら確かにそうとも読める部分があってきわどいと思った。
          • でも全体的には失業者が直接犯罪者になるということを主張しているわけではないと思う。
      • 要するに経済が停滞して収入が減ったり安定しないことの波及効果を見ているのでは。
      • それが失業率として表れてから犯罪の増加に至るまでのタイムラグのある要因は色々考えられよう。
        • 借金がたまって弾けるのに何年かかかるとか
        • 失業→再就職 を繰り返して将来を悲観とか
        • 新卒で就職に失敗した人の履歴効果が後々効いてくるとか
        • 先輩たちの過去の苦労を見聞きして真面目に働くのがバカらしくなるとか
        • 収入減で家庭環境が悪化して子供がグレるとか
  • 管賀江留郎氏の叫び:「こんな簡単な分析でなにかを語るな!」
    • 簡単な分析というよりはマクロな量を扱った大雑把な分析。
    • マクロ経済の影響を見るためにマクロな統計量を扱うのは正しいのでは?
      • 氏が挙げているダメな例はミクロな統計のつまみ食い。
  • 管賀江留郎氏曰く:「あいさつは殺人のはじまり」
    • 名言。
  • 管賀江留郎氏のぼやき:「基本的なデータをこれまで誰もまとめてなくて」
    • 犯罪関係の統計ってそういうのよくあるかも。
  • 管賀江留郎氏の言いたいこと:「考える前にやるべきことがあるだろ」
    • 一般論としては同意
    • でも松尾氏のあれはそこまで言われるべきことかどうか。
      • 手にしたデータの範囲で考えられることを考えている。
      • 「やるべきこと」と「考えること」のバランスはとれてると思う。