世間でよく聞く、モンドセレクションだって実はお金で買える賞なんです。 それを、モンセレ金賞?! すごいー と思っている人がいるのも残念ですが。。
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モンドセレクションについて色々誤解があるのは事実だし、僕自身も最近まで誤解していた面はあるのだけど「実はお金で買える」というのも誤解だと思います。
僕はモンドセレクションの問題点については割と最近になってこのブログで知りました。
この記事とリンク先などでわかったことをまとめると、こんな感じです。
- モンドセレクションは審査して欲しい企業が応募して審査してもらう仕組みで、世界中の食品を審査して選ぶわけではない(ノーベル賞とは違う)。
- 評価は絶対評価で競争ではない。基準を満たせば金賞はいくつでも出る(オリンピックとは違う)。
- 審査には審査料(1100ユーロ)が必要。モンドセレクションの運営基金の大部分は審査料収入によるらしい。*1
- 審査基準は非公開で、受賞企業にも知らされない。消費者はメダルを見てもどういう基準で受賞しているかわからない。
なお、受賞者数が非公開という話もありましたが、現在では公式に発表されています。*2
審査料をとるのが「お金で買える賞」ということなのですが、これは言い過ぎではないでしょうか。審査料は固定ですし、審査に出せば無条件に賞を貰うというものでもありません。
一方、日本国内では近年急激に上がったため審査対象品の5割が日本からの出品という状態にある。さらに、日本から出品した食品の8割が入賞している。
モンドセレクション - Wikipedia
8割が入賞しているということは裏を返せば2割は落ちているということです。問題があるとすれば、日本の食品のレベルが高すぎてモンドセレクションの審査基準では優劣をつけ難い、ということかもしれません。
理屈の上では、審査基準が非公開で審査料で運営しているならば、運営者側には基準を緩めに設定するインセンティブがないわけではないですし、実際審査対象の50%近くが「金賞」というのも微妙な話です(ただし最高位のメダルは「特別金賞(Grand Gold Quality Award)」で受賞率は15%)。
金メダルと言えばオリンピックのような競争の1位というイメージがありますし、世界的な賞ともなれば世界的に選抜された世界一、というイメージはありますから、金賞受賞をメダルのイメージでPRするのはモンドセレクションのシステムと実態を知らない大半の人に対して誤解を与えかねないとは思います。
しかし、審査料で運営すること自体は決して悪くない選択です。スポンサーが付いたり運営主体が他の事業収益で費用を賄っているとしたら、スポンサーや運営者と関係が深まった企業が審査対象になる可能性があり、そうなると審査の公正性の点で問題が発生します。
イメージのよい金賞が多めに出る審査基準にして金賞の上に特別金賞を用意するというのは、独立審査機関なりの処世術なのかもしれません。
さて、僕がモンドセレクションと出会ったのは小学生の頃三立製菓の源氏パイのパッケージで見たのが初めてでした。「三立製菓株式会社 モンドセレクション受賞歴」にある3年連続金賞の表彰式の写真は見覚えがありますので1976年以降、二度目にモンドセレクションの表示を見たブルボン「ピッカラ」が金賞を受賞したのが1981年なので、それより前だと思います。
源氏パイがあまりに美味しかったので、モンドセレクションに対してはかなり好印象でした。源氏パイうまい→モンドセレクションはガチ、みたいな。なので、個人的にはモンドセレクションが源氏パイのPRになってるんじゃなくて、源氏パイがモンドセレクションのPRになってました。
後に「ピッカラ」にも金賞の表示を見つけて、うーん、特別おいしいって感じじゃないけどこれも金賞なん? って思って、その後ちょくちょく「モンドセレクション金賞」を称する食品(主にお菓子)が出てきて、そんなにプレミアム感を感じなくなったのも事実です。*3
最近モンドセレクションが取りざたされるようになったのは2007年にサントリーがプレミアムモルツのテレビCMで「3年連続モンドセレクション最高金賞受賞」を打ち出したのがきっかけのようです。モンドセレクションの審査製品数の推移を見ても、2008年から急激に応募が伸びているのがわかります。*4
テレビCMで認知度が高まり、賞のPR上の価値が高まった(あのプレミアムモルツと同じ賞、みたいに見てもらえる)のが原因でしょうか。しかし三年連続って言っても絶対評価なので審査基準が変わらないなら一度受賞してから毎年出せば確実に受賞しますよね。何年連続、っていうステータスはある意味金で買えるとは言えるかも*5。審査基準が非公開なのはそういうのを抑止する意味合いもあるのかもしれません。
そうやって急に賞の露出度が増えたこと、そのわりに何が評価されているのか不透明なこと、不透明ではないけれど誤認を誘うようなPRのされ方を誘発する仕組みになっていること、などがネットのマスメディアや広告に対する懐疑的視線に触れて、モンドセレクションに対する風当たりが強くなっているのかな、と思いました。
まとめ
源氏パイはガチ。
おまけ
私はこういうのが本当に嫌。私もc級タレントながらこういったプロモーションのご依頼は結構いただきます。でも、自分が実際に使ってみて、ゲームなら遊んでみて、自分で限界まで要素分解してみます。それで本当に皆様にとって素敵なものなのか? を考えます。
もちろん、それで、これは宣伝できないな、、、と思ったものはいくらお金をもらっても断ります。それが私ものやり方。それを何でも受けてしまうと、最後に安いイメージがついて困るのは自分ですし、なによりお客様に失礼だから。お客様は、だれだれが宣伝しているから楽しい、ダロウ。で買ったり見たりするわけです。
なので、私の事務所の方、事務所には苦労をかけていると思います。全部私が仕事を受ければ収入ももっと……。でも、私は「杏野はるなが薦めるならガチ」というタレントになりたい。なんでも受けて安くなって、飽和状態になるのが嫌。職人でありたい。
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確かに杏野はるな氏のようにマニアックな知識や能力を売りにするタレントはいますし、僕もそういうタレントは好きです。
ただ、それが売りになるのはタレント「なのに」こんなに○○に詳しい! 趣味的に俺たちに近い! という「落差」を差別化ポイントにしているわけで、タレント一般に求められるものでもないと思います。
来た仕事は私情を挟まずに受ける、仕事の内容を判断するのは事務所の仕事、自分が判断するのは「できるかどうか」で「やりたいかどうか」ではない、というポリシーだってあっていいでしょう。それもプロフェッショナルのやり方の一つだと思います。
一方、職人性をポリシーとして、紹介する商品を自ら選別するのであれば、商品の善し悪しを判断する能力が自分にはある、と主張しているのと同じですから、相応の責任が求められ、タレントなので、本職じゃないので、では逃げられません。
杏野氏については、ファミコンのカセットを焼いた件は少々ムカついたし、WinMXの件も本人の釈明はあまり信じていませんが、職人性に関しては相応の責任をとるだけの覚悟も努力もしている人だと思うので、その点に関してはがんばっていただきたいと思います。