デマ耐性とリテラシー

HIV感染者数のデマ([id:rna:20050830#p1]) 宛のトラバ([id:kitano:20050903:p1])について。

騙されてる人はなぜ一次情報に当たらないのか、ということですが普通はいちいち一次情報なんて当たらないわけです。いつでもそんなことしてたら日が暮れちゃう。だから、その人の常識に照らし合わせて「ホントかよ!?」って疑った時にだけ真偽を確認するわけです。そうやって何か引っかかった時に真偽を確認する人自体は結構いて、近頃だと朝日を常時疑う人が結構いるので、朝日の報道で微妙な統計がでるとすぐ騒ぎになって検証されたりして、よくそんなの気付くなぁと感心したり。

でも義務教育程度の常識があればあとは注意力次第で気付くようなミスはともかく、もっと込み入ったミスはそれなりの前提知識(この統計値の相場はこれくらいという知識)がないと疑うことすらできません。それがなくても疑ってしまうとしたら心の病気か差別主義者か陰謀論者で、そういうのはメディアリテラシーとは違います。

例えば、性犯罪者の再犯をまとめたNHKのグラフがデタラメだった件([id:rna:20050120#p1] の二つ目の画像)なんてどれだけの人が気付いたでしょう?*1 犯罪白書とかをよく読む人じゃないと一目見て「これはなんか怪しい」とは思えません。ましてや「性犯罪者の再犯率は高い」という「常識」があれば「やっぱりそうか」とスルーしてしまうのが普通でしょう。*2

HIV感染者数のデマも、在日生活保護率のデマ([id:rna:20050106#p3])も、博士卒の自殺率のデマ([id:rna:20050505#p1])も、信じた人は自分や自分の周囲での常識(実際には偏見)だけど世間には出ていない、あるいは隠蔽されていると感じている情報が出てきたので、疑いもせず飛びついたんじゃないかと思います。

ちなみにHIV感染者数のデマが統一教会が流してるんじゃないかという話、「純潔教育と言えば統一教会」というのは僕らくらいの世代(60〜70年代生まれ)だと大学生活上の「常識」だったのでそういう反応が出ても仕方がないとは思いますが、それこそ検証しないとなんとも言えませんね。まあ「うぷぷ、原理研かよオマエは!」ってツッコむくらいはアリだと思いますが。

*1:あまりにも誰も指摘しないし、NHKにメールしてもなしのつぶてだったし、自分の検証が本当に正しいのか自信なくなってきたり。。。

*2:僕はたまたまこの時期その手の統計をよく見ていたり、以前に似たようなグラフを作ろうとして一般に流布している統計からは作れないのに気付いていたり、報道各社が軒並み再犯率再犯者率を取り違えて報道していたのを知っていたりしたので、もう何もかも信用ならんという心境でしたから一目見て検証する気になりましたが、普通の素人には疑えないと思います。