「「日本の未来が見える村」長野県下條村、出生率「2.04」の必然:日経ビジネスオンライン」について

ブクマコメントで結構キツいこと書いて反応もあったので改めて。

元記事はこれ。

僕のブクマコメント:

rna [これはひどい][media] 「リーズナブルな価格に引かれて、若い夫婦が数多く移り住んできた」子供生む人を集めてきただけじゃん。少子化の本質は非婚化・晩婚化だよ。/自治体改革の参考にはなるが出生率をフレームアップするのはインチキ。
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rna [media] これはひどいタグつけたの俺だけか… / 2.04ともなると、2人目3人目を生む率を考えたら「生む人集めただけ」は言い過ぎだったかも。でもミスリーディングな話には違いないと思う。
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少子化の本質は非婚化・晩婚化」というのは赤川学子どもが減って何が悪いか!』の受け売り。

子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書)

子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書)

この本は以前以下の記事で紹介した。

僕が憤っているのは、元記事のタイトルがほとんど釣りになっている点。それをあまり読者が怒ってないのも困惑している。

あのタイトルだと下條村の取り組みが日本の少子化対策の参考になるかのようだが、記事の内容は少子化問題ではなく自治体の行政改革の話だ。実際やってることは子供がいる人、子供を作りそうな人を優先的に村に呼び寄せた結果だ。

出生率を上げるには若い夫婦を呼び寄せればいい。そして、彼らが安心して子供を育てられる環境を提供すればいい。下條村が示しているのは簡単な事実だ。ならば、「ほかの自治体も子育て支援を充実させればいいではないか」と誰もが思うだろう。だが、借金にまみれた市町村は独自の政策を打てるほどの財政的な余力がない。やりたくてもやれない−−。それが多くの自治体の本音だ。
日本の未来が見える村:日経ビジネスオンライン

単に特定の層に移り住むことを動機付けるだけでなく、移り住もうとする人の選別もしている。

一般的に、国の補助金には様々な制約がある。例えば、下條村のマンション建設の場合、「入居者は抽選で決めなければならない」「低所得者層を一定数、入れなければならない」「家賃はいくらでなければならない」などの縛りがあった。国費を投じる以上、公平性や大義が必要ということだろう。
 下條村はこの縛りの下、入居者を抽選で決めた。だが、抽選で入居したある家族は地域活動に一切参加せず、住民と摩擦を起こした。さらに、家賃まで滞納するようになった。「協力的でない人間が1人いるだけで、地域のコミュニティーがダメになる」。この一件に懲りた伊藤村長。2棟目以降、すべて村の自主財源で建てることに決めた。カネはかかるが、村が望む人々を選ぶことができると考えたためだ。
 今では入居条件を「子供がいる」か「これから結婚する若者」に限定。消防団への加入や村の行事への参加も条件に加えた。その結果、村が考える「質のいい若者」が入居するようになり、村や地域が活性化し始めた。各地域もマンション建設を歓迎するようになった、という。
日本の未来が見える村:日経ビジネスオンライン (強調は引用者による)

これを日本全体に適用しようとすれば、外国人の若い夫婦を呼び寄せればいい、という話にしかならないだろう。

政策実現のための財源確保のくだりは読み応えもあり、行財政改革の参考にはなるかもしれないが、元々の政策自体は地方の活性化策としては意味はあるものの、少子化対策という文脈で見ればチートみたいなものなのに、少子化対策の文脈につなげるような記事の構成にするのはミスリーディングではないか。

反応

t-murachi [はてな] id:okemos さめ: 霞ヶ関がやるべきなのは、全国の自治体に若年夫婦獲得競争をさせることなのでは? / id:rna さめ: おいら自身、経済的制約が結婚に踏み切れない理由になっているので、この村のような自治は望ましいのです…
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確かに、出産・子育て支援は結婚する相手はいるけど出産・育児のコストを負担できる目処が立たなくて結婚しない、あるいは結婚しても出産しない、といういわば待ち組の人の行動を前倒しさせる効果はあるでしょう。少子化進行の歯止めとして出産・子育て環境の悪化は食い止める必要もあるし、そもそも少子化対策とか抜きで、純粋に国民の幸福のために出産・子育て支援はするべきだとも思います。

しかし『子どもが減って何が悪いか!』によれば、少子化対策として見ると子育て支援はコストパフォーマンスが悪いのです。とうてい「出生率「2.04」の必然」にはなりえないと思います。そのあたりが誤解されそうなのを僕は危惧してああいうコメントを書きました。

inumash [社会][政治][経済] id:rna どれだけ若い夫婦を引っ張ってきても安心して子供を生める環境を整備しなければ出生率は上がらない。その環境づくりに必要だったのが「行政改革」であり、成功した結果がこの出生率、という話じゃない?
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それは順番が逆で「安心して子供を生める環境を整備」したから、子供を産むつもりの若い夫婦が集まってきたわけでは? t-murachi さんの言うように、それが産むか産まないかの選択に関わっている可能性もありますが、移住者の選別ぶりなどから想像するに、もっぱらどこで産むかの選択でしかなかったのではないかと思います。

You-me [メタブ] 子供がいる夫婦だけ見ると全国的に出生率は2を超えているという話は忘れられがちかしら/近くによりかかれる条件があったからというだけだよ。ここは。産科のある病院まで何時間もかかる地域では同じ事はできません
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忘れているというか、知りませんでした。2.04 のうち 0.いくつかは誘致効果以上のものかと思っていましたが、まるまる誘致効果かもしれないんですね。というか、移住者がいる場合の出生率(期間合計特殊出生率)ってどう計算するのかも知りません。子供産んで一年以内に引っ越してきたら引越し先の出生率にカウントされるんでしょうか。