外国人に対する生活保護

誤解されてるようですが、僕自身は元々ハン板の人間じゃなくて、生活保護の話は他の掲示板で唐突にふられて知りました。具体的には自アン_に確か「在日 生活保護でぐぐれ」というタイトルの箱が出来て、実際ぐぐって知りました。なので、ハン板での話の流れとは関係なく数字の検証だけやりました。

在日の貰っている率が問題なのではなく、貰っていること自体が問題だと思うんですが・・・

問題でないなら保護率の話は最初から出すべきではないし、ましてや間違った数字を流布するのは論外です。また、実際に保護率を問題にしている人が結構います。その中にはズレてる人もいるしズレてない人もいます。

まずズレてる例。外国人参政権反対運動の人なんかは保護率を問題にしています。このデマを根拠にして「5人に1人は多すぎ→何か不正があるはず→そんな奴らに参政権与えていいのか」みたいなロジックを立ててるわけです。外国人参政権の是非はともかくとして、デマを根拠に世論が形成されるのは放置できないと思いあの検証記事を書きました。

次にズレてない例。回り道になりますが、外国人が生活保護を貰うことの何が問題かを先にまとめます。まず、外国人の生活保護は法的に権利として認められていません。行政措置として外国人を生活保護の対象にしているだけです。社会保障法学会編集『講座社会保障法6巻』第1章 社会保障関連争訟の意義と展望 四 生活保護をめぐる裁判(からすの福祉法律研究所)より:

まず、最低生活保障を享受するのは誰かという点では、日本国籍を有しない外国人が生活保護の受給権を求め争ったものがある(神戸地判平七・六・一九判例自治一三九号五八頁、東京地判平八・五・二九判時一五七七号七六頁、同旨のものに東京高判平九・四・二四判時一六一一号五六頁)。これらはいずれも生活保護法一条、および二条、さらに憲法二五条、一四条を根拠に争ったものであるが、判決では憲法二五条一項の解釈を国民一人一人に具体的権利を賦与したものではなく、生活保護法一条及び二条も、保護を受けることができる者を「国民」に限っているので、外国人が同法によって具体的権利を享有していると解することはできないとし、保護申請を却下した行政処分を違法とはいえないと判断した。また保護行政においても「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和二九年五月八日社発第三八二号厚生省社会局長通知[一部改正昭和五七年一月四日社保第一号])のなかで、外国人に対する生活保護の取り扱いを日本国民に準じたものとし、権利として保障するものではなく一方的な行政措置によるものであり、日本国民に保障されているような保護請求権や不服申立の権利もないという考え方を示している。

要するに外国人への生活保護は、外国人が権利として貰っているのではなく、国が(人道的な措置として)あげているのです。なのでそれ自体は別に違法なことではありません。問題があるとすれば税金の使い方としてどうなの? ってことです。在日への生活保護が税金の無駄遣いだという意見はあり得ます。無駄かどうかは金額にもよりますから、保護費の金額を提示して判断すべきでしょう。で、実際提示している人もいます。たとえばこれ。

。。。ごらんのように例のデマの数字と同じ間違いを含んだ数字が使われています。つまり外国人だけ累積の被保護人員(値が12倍になる)を使っていて、しかも外国人を全部在日としてカウントしています。

保護費の金額をどうやって計算したか書いていませんが、金額を正しい被保護人員の数で割ると1人当たり月200万円弱という絶対にあり得ない数字になっているので、例の12倍の被保護人員から計算したものでしょう(それでも多すぎるのですが)。

そんなわけで、例のデマの影響を受けている議論が実際にあるわけです。