サブPC新調

2015年から使っていたサブPCを新調しました。データ用のHDD/SSDビデオカード以外全部替えたのでほぼ丸ごと新調ということになります。

旧PC 新PC
CPU Core i5-6600 (4C4T/3.3GHz) Ryzen 5 8600G (6C12T/4.3GHz)
MB ASUS Z170-K ASRock B650 Pro RS
MEM 16GB (DDR4 2400MHz) 64GB (DDR5 4800MHz)
SSD Samsung SSD 850 EVO (500GB) Crucial P3 Plus (2TB)
VIDEO GeForce RTX 3060 Ti AERO ITX 8G OC LHR 変更なし
OS Windows 10 Pro Windows 11 Pro
CASE Cooler Master CENTURION 534 Cooler Master MasterBox CM694
PSU SUPER FLOWER GOLDEN KING (??W) Seasonic FOCUS GX-850 (850W)
CPU COOLER (リテールクーラー) (リテールクーラー)
CASE FAN 12cm(ケース付属)+12cm(??) 12cm x3 (CASE付属)
KB Owltech OWL-KB90PFLAT E元素 Z-88/学覇 (茶軸)

旧PCのパーツで必要以上に分解しないとわからない箇所は ?? になってますが…

キーボードは Amazon で、それ以外の新しいパーツは全部 Ark で買いました。

パーツの選定

サブPCはサブといいつつ Windows でゲーム、動画編集、画像処理等、重たい処理をやる用のPCなのでメインPCよりも高性能なパーツで組むようにしていたのですが、一昨年のメインPC新調で性能が逆転した状態でした。

CPU が10年近く前のものなので仕方がないのですが。ということで少なくともメインPCよりはパワフルなPCにするのが目標です。

諸般の事情で以前からなるべく Intel の CPU を避けているのですが*1 旧PCを組んだ頃は AMD の CPU が性能・消費電力共に散々な状況だったので仕方なく Core i5 を選択しました。だが今は違う!(ギュッ) ということで、Ryzen です。

肝心な時にグラボの故障で*2 PCが一晩使えなくなってベランダでの天体撮影に支障が出るのは避けたいので内蔵 GPU がある APU を選択しました。最新の APU は 8000G シリーズ。本当は ECC メモリを使いたかったのですが、G シリーズは Ryzen Pro でないと ECC 非対応です。そこは DDR5 の On Die ECC を信じて妥協しました。*3

マザーボードはゲームはやるもののオーバークロックとかやるつもりはなかったので ASRock でゲーミング寄りでないものを選んだつもりでしたが、デフォルトで LED が七色に光っていました… まあ、UEFI設定(ツール/RGB LED: LED MODE)で速攻切りましたが。

SSD はゲームのインストール先にもするので大きめの 2TB のもの。中国製の激安 SSD は怖いので無難な範囲で安くて PCIe 4.0 の NVMe でそこそこ速いものということで選びました。

今回はケースも交換することにしました。ケース自体は先々代?から使っているもので2006年発売のモデル。買った時の日記が残ってますね…

2007年の BIGLAN Socket 5 (秋葉原で開催された大規模LANパーティー)に持っていったのもこのケースですね。

さすがに20年近く前のケースだと USB3 とか USB-C の口がないので交換です。

しかしケースの選定は悩みました。旧PCでは5インチベイを3段使って HDD を4台接続可能なリムーバブルラック(iStarUSA BPN-DE340SS)を使ってケース本体と合わせて5台の HDD を載せていたのですが、最近のケースは5インチベイが3段もあるケースはほとんどありません。Blue-ray をPCで見るので光学ドライブの分も必要ですし…

結局リムーバブルベイは諦めて3.5インチベイが多いケースを選びました。CM694 は3.5インチドライブが6台まで載ります。8台載るバージョンもあるのですが、背が高くてデスクの下が窮屈すぎることになりそうなのでやめました。

電源は評判のいい Seasonic で。ゲームはやるもののハイエンドビデオカードを使う予定はないので、もう少し容量小さくてもよさそうでしたが、効率の面を考えて850Wのものにしました。

キーボードは今まで使っていたものがヘタレてきて、反応しないキーはないものの、ASDFととかゲームで使うキーが激しく摩耗して、薄くなりすぎて穴があいたキーまで出てきたので新調することにしました。

デスクスペースの関係でいわゆる65%キーボード以下の大きさがマスト。しかし Windows 用のソフトだとファンクションキーがないと不便なものがあるので Fn キーと同時押しでない物理ファンクションキーは欲しい、となると選択肢が限られてきます。結局 Amazon でみつけたe元素(「いーよーそ」と読むらしい)の格安ゲーミングキーボードを選びました。

全然知らなかった中国メーカーの製品でかなり博打なのですが、評判は可もなく不可もなくという感じですし、メカニカルキーボードでキースイッチも交換できるようなので。青軸/茶軸/赤軸から選べましたが、青軸はむっちゃうるさいとの評判。無難に赤軸、と思いましたが、ゲームやる時にクリック感があった方がアガりそうという謎の理由で茶軸にしました。キー配列がUS配列オンリーなのは元々US配列をずっと使ってきたので無問題。

組み立て

マザーボードへの部品の組み付けは思ったより楽でした。AM5 は初めてなのですが、リテールクーラーなのでマザーに最初から組み付けてあるバックプレートがそのまま使えました。ネジ留め式だしクーラーにはグリスが塗布済みだしでほぼポン付け状態。

SSD の取り付けも簡単でしたが、旧PCからの載せ替えのデータ用 SSD (Samsung 980 1TB)をどこに挿すかは悩みました。PCIe Gen 3.0 x4 の SSD ですが、残り二つの口のうち片方は Gen 4 x4、もう片方は Gen3 x2。Gen 4 x4 に挿すのはもったいないのですが、Gen3 x2 だと帯域が足りません。*4 結局 Gen 4 x4 に挿しました。

新しいケースは想像以上にデカくて、前のケースより一回り大きい感じ。水冷ラジエーター対応なので背が高めのようです。内部が広くて比較的組み立てやすかったですが、板金のペラペラ感は気になりました。振動でビリビリ音鳴るんじゃないかなと不安でしたが意外と大丈夫でした。

ファンの音漏れは… これはペラペラ以前に天板と正面がメッシュなのでどうにもならないのですが思ったよりは静か。でもちょうどデスク向かって座るとフィ〜ンインイン… という唸り音が。近づいても離れても聞こえなくなるのですが、普通に座る場所が一番うるさいというのが残念… たぶん複数のファンのノイズが干渉して強まる場所がそこなのだと思います。

マザーボードへの配線は4ピンの ATX12V2 コネクタだけは電源側に対応するケーブルが入ってなくて悩みましたが、マザーボードのマニュアルを見ると、これはオーバークロックするなら推奨するが通常は必要ないとのことでここは挿さずに済ませました。


起動、UEFI設定

HDD の積替えは後回しにして先に起動確認と Windows のインストール。ここでトラブルが出ると配線を全部外してマザーボードを取り出して、という作業になるので先にやります。

電源投入後、ランプやファンの回転に異常はないものの、数分起動画面が出てこなくて焦りましたが、初回起動時(もしくはCMOSクリア後の最初の起動時)はメモリ搭載量の応じて分単位で時間がかかるとマザーボードのマニュアルに書いてありました。

というかビデオカードから出力が出ない?と思ってこの時に画面出力をマザーボード側に繋ぎ替えました。たぶんこれは必要なかったと思います…

SSD は新品 & データ用で OS がないので起動後UEFI画面が出てきました。真っ先に H/Wモニター でCPU温度とファンの回転数を確認します。

CPUクーラーの取り付け不良があると、この段階で60℃とか70℃とかになりますが、30℃台ということで一安心。CPUファンとケースのリアファンは認識されています。

フロントファンが認識されていませんでしたが、実物を確認すると回転はしていました。これは2台のファンが一つのコネクタに並列で繋がっているようで、おそらく回転数のモニタリング用の線を繋いでないのだと思います。

PWM 対応分岐ケーブルだとモニタリングは片方のファンの線だけ繋いで、回転数制御は制御用の線を両方に繋ぐようですが、これはそうなってないみたいです。まあ特にうるさくはないので当分このまま使うことにしました。

次に省電力設定。メインPCの時もやりましたが、CPUの消費電力制限のターゲットを定格の65Wから45Wに設定しました。

35W に、と思いましたが不安だったので。後で調べたら CPU のスペック上は 35W には対応していないようで、35W は ASRock の UEFI が提供する裏技っぽいですね。


Windows 11 のインストール

ここで一緒に購入していた OEM 版の Windows 11 Pro をインストール。新品の方の SSD を選択してそのままクリーンインストールパーティションとか作成しませんでしたが勝手にやってくれるようです。

インストールはつつがなく進み、更新のインストールに入ったのですが、ここでゲームができるようになっていました。

せっかくなので新しいキーボードの感触の確認も兼ねてプレイしました。プレイヤー・キャラクターは猫を選択。

無事インストールが完了し、GeForce のドライバもインストールして2画面出力も確認できました。ただ、このマザーボードには PS/2 ポートがなくて、PS/2 ポートから電源を取るタイプの古いモニター切り替え機が動きませんでした。以前これを使うためにわざわざ DisplayPort to DVI-D の変換ケーブルとか買ったんですが… まあ、元々色々不便はあったのでこれを機に HDMI 切り替え機を買って移行することにしました。

ベンチマーク

パフォーマンスチェックと負荷テストのために 3D Mark Demo版の Time SpyCINEBENCH 2024 を回してみました。3D Mark は旧PCにビデオカードを足した時に取った記録があるので比較できます。

Graphics CPU
旧サブPC 11365 3502
新サブPC 11471 8713

Graphics スコアはビデオカードが同じなのでほとんど変わりませんが、CPU スコアは倍以上になりました。正直なところ、10年近く経っているので3倍くらいにはなって欲しかったですが…

CINEBENCH 2024 は CPU Multi Core のスコアが 670 でした。よそで見たスコアより少し低いのが気になりますが、それより CPU 温度にびっくり。Package 温度の MAX が 91.6℃ に。

こんな温度は見たことがないのでびっくりしました。CPU クーラーの取り付けに失敗したか?と思ってネジの締め増しとかもしていましたが、MAX 温度は変わらず。

調べてみると今どきの CPU は電力設定の範囲内で自動オーバークロックでサーマルスロットリングが起きる限界までクロックを上げるようになっているそうで、これで正常みたいです。

ゲーム(CS2)もプレイしてみましたが、やはり MAX 90℃ ぐらいまで行くものの、ゲームの動作に支障はありませんでした。ACE COMBAT 7 はデフォルト設定(垂直同期 OFF、フレームレート無制限)だと温度上限の 95℃ まで行きましたが、やはり動作に支障なし。

こういうものか、とは思ったものの、45W 設定(実際は MAX 60W くらいまで行きました)でこれなのは納得いきませんし、夏場にはパフォーマンスに影響が出てしまうことになりかねません。

8600G はリテールファンが一番グレードの低いものであること、*5 殻割りレポートによるとヒートスプレッダとコアがソルダリングされておらずサーマルペーストが使われているとのことで、熱が溜まりやすいようです。

さすがに夏までには CPU クーラーを替えようと思いますが、グレードの低い CPU を選んだのにグレードの高いクーラーを買うのもちょっと納得いかない…

とりあえず UEFI の「OCツール: Performance Preset」で「PBO and Tjmax=85℃」を設定して85℃でサーマルスロットリングがかかるようにしておきました。この設定は電圧等も調整するそうで、設定してもパフォーマンスはほとんど変わりませんでした。3D Mark Time Spy の CPU スコアは 8467 で2%弱下がりましたが、CINEBENCH 2024 は 677 とむしろ上がりました。

HDD 載せ替え・データ移行

HDD の載せ替えは、ケースの3.5インチベイのコネクタ側に余裕がなく、*6 コネクタを挿すとサイドパネルがぱっつんぱっつんになりましたが、なんとか無事載せ替えられました。

データ移行は iTunes の楽曲と Kindle for PC の電子書籍Lightroom Classic の写真のライブラリが対象ですが、結論から言うと Kindle for PC の電子書籍は移行できませんでした。

iTunes の楽曲ライブラリは元々別ドライブに保存していましたが、メタデータの類は常にCドライブの方に入っています。以下の手順で無事移行できました。

  • 旧PC でユーザーの ミュージック\iTunes フォルダをバックアップ
  • 楽曲ライブラリのフォルダのあるドライブのドライブレターを旧PCと同じにする
  • iTunes をインストールして起動
  • Apple ID でログイン
  • iTunes のライブラリのパス設定を変更
  • iTunes を終了してユーザーの ミュージック\iTunes フォルダをバックアップで上書き

これで iTunes を起動すると旧ライブラリが表示されました。手動で設定したアルバムジャケットも正常に表示されました。購入楽曲の再生、リッピングした楽曲の再生、共に OK。

Lightroom Classic のデータは写真とカタログを別のドライブにしていたのですが、*7 旧PCとドライブレターを同じにしておいてカタログを開けば今まで通りでした。

Kindle for PC のライブラリはライブラリフォルダを旧PCから載せ替えたドライブのフォルダに設定してもダウンロードしたはずの本がダウンロードしていない状態で表示されました。ダウンロード時に本ごとのフォルダが作成されない時代にダウンロードした古い本は何故かダウンロード済み状態で表示されましたが、その本を開こうとするとエラーになって「再ダウンロードしてください」と言われて読めませんでした。DRM の関係で移行できないようですね…

キーボードについて

e元素のキーボードですが、今のところ悪くはないです。物理的な仕上げの雑さとかケーブルがダサい(塩ビ管みたいな色と質感)とか、カラーのゴールドが思ったより派手だなとかありますが、ゲームで使っても支障はありません。

キースイッチの音は思っていたよりデカかったですが許容範囲。反応の悪いキーもなく、普通に使えてます。キータッチは昔の PC-98 のキーボードみたいなカチャカチャ感で個人的には嫌いじゃないです。耐久性はまだわかりませんが交換用のキースイッチが数個、専用工具と一緒に付いてきたので当分は大丈夫だと思います。

あと、デフォルトでフルカラーLEDで虹色に光るんですが、これは接続先PCのOSと関係なく Fn キー + ↑/↓キーで設定変更できます。速攻 OFF にしたんですが、ふと思い立って電気を消して ON にしてみたら、これが結構悪くないような… なんというか、癒やされるというか…

動画は iPhone 15 Pro で撮ったらなんか HDR がかかっていたようで、アップロードするとかなり暗くなってしまいました。実際にはもっと明るいです。眩しいってほどではないですが。

ということで…

その後色々インストールしたりして、新PCもほぼ元通りに使えるようになったのですが、USB にカメラを繋いで天体撮影のテストをしたところ色々トラブルが出ました。なんとか解決はしましたが大変でした。このあたりは後日天文ブログの方に書きたいと思います。

*1:要は Intelイスラエルで CPU の開発・製造をやって税金納めてるのが気に入らない。

*2:冷却ファンのトラブルで以前実際にありました。

*3:Ryzen Pro は基本的に OEM メーカー向けの製品でパーツショップでの流通は基本的にありません。Pro 4000G シリーズは一部ショップでマザーボードとのセット販売をやっていましたが、以後はそういうのはやらなくなったようで、Pro 8000G シリーズのリリースを待っても無駄になりそうなので諦めました…

*4:980 は 3500MB/s なのに対して Gen3 x2 は1.97GB/s

*5:Wraith STEALTH で上位の PRISM と違い、ヘッドに銅芯が入っていない。

*6:専用のマウンタに載せて挿す方式で HDD を深く挿すことで調整することができません。

*7:カタログだけSSDに置いていました。