「はしご禁止」問題

風野春樹氏が子供向けネットコミュニティ「ぱどタウン」で参与観察中。子供達の住むネット空間は我々の知る Web とは随分違うようです。もっとも「ぱどタウン」の場合元々 Web よりはアバターチャットに近いシステムのようですが。

風野氏の報告に出てくる奇妙な風習、交差従兄弟婚、じゃなくて「はしご禁止」について少し考えてみた。「はしご」というのは友達のサイト(ぱどでは「部屋」と言う)に書き込みした人のリンクを辿って勝手に書き込みにいくこと。このような行為が小中学生のぱど住民の間では忌み嫌われているというのです。友達(A)の友達(B)と友達になるのに黙って友達(A)を踏み台にするな、という意味らしいですが何故そんな事がトラブルの元になり、禁忌にまでされているのか。

風野氏の分析は「友達や彼女を取られる事を恐れている」というもの。「悲しみがー止まらなーいー♪」って感じでしょうか。流動的な人間関係に耐えられずコミュニケーションを規制することで対抗していると。

これに対して、古くからあるリアル女の子文化の風習が持ち込まれたのではないかという説も:

 とりこさんによれば、小学生の女の子文化というのは、誰かが誰かに対し、他の誰かより優先権・独占権を持っている、というのが非常に重要視される文化であるという。AちゃんとBちゃんが友だちという優先権を持っていた場合、Aちゃんの知人だがBちゃんとは非知人であるCちゃんが、Bちゃんと友だちになりたいとすると、たとえばAちゃんの紹介を受ける、とか、AちゃんのホームグラウンドでBちゃんの目にとまりうるかたちでAちゃんと知り合いであることを示し、Bちゃんから言い出される形で「友だち」認定してもらう、などといった何らかの手続きを経る必要があるようなのだ。面倒なように思えるが、それが「スジを通す」ということであり、これを怠るとルール違反、礼儀知らずということになるのだという。

風野氏 ( ゜Д゜)ポカーン。僕もこんな風習は初めて知りました。勉強になります。とはいえ、これって結局分析を先送りにしてるだけで、じゃあなぜ女の子文化ではこんな風習があるのかという謎が。。。

これとちょっと似たような話で、僕が以前勤めていた会社での「社内夫婦別姓禁止」というのがあります。といっても実際にはそんな制度はなくて、むしろ業務の都合上社内結婚後も別姓の人が結構いたのですが、そういう状況は困るんじゃないか、という苦言を呈した人がいたという話。何が困るかというと、例えばこんな状況:

  • A さんと B さんがケコーン
  • C さんそれ知らない
  • C さん A さんに B さんについて愚痴る
  • A さん B さんにそのことを話す
  • → マズー

A さんと B さんの関係を C さんが事前に知っていればこんな事態は避けられたのに、というわけ。

人は誰でも(?)相手によって見せられること見せられないことがあって仮面をとっかえひっかえ人と接するわけですが、違う仮面を付けて接した人同士が親密な関係になってると微妙に仮面の裏側を見られちゃう、しかも一方的に、という嫌さはあります。一般的には避けられない事態ではあるけど、せめて関係をオープンにしてこちらに複数の仮面の間で整合性をとるチャンスをくれ、という気持ちはまぁ理解可能。

この話が「はしご禁止」と関係あるのかどうかあんまり自信がないのですが、一応参考までに。