3日付けの神奈川新聞のコラム「断面」にジゴロウの著作権問題を扱っていました。「"大人の争い" 解決できず」「tvk とデザイナー 著作権使用料で対立」と題して生々しい話が載っています。なんだかなー。
以下本文を頭から順に引用。
対立のきっかけは、グッズなどジゴロウの二次使用問題。tvk側はグッズの販売に当たり、フリーのデザイナーでジゴロウの著作権者のダイスケ・エクスプレスさん(28)に対しロイヤルティー(著作権使用料)として月額約二十八万円を支払っていた。
だが昨年十二月、「自分が商品化に必要な契約の当事者になっていない」と、ダイスケさんが不満を表明したため、グッズ制作はストップ。今年二月に、売上高の30%のロイヤルティーをあらためて求めた。
定額のデザイン料しか貰ってないんじゃないかと思っていたのですが「グッズの販売」の著作権料として月ごとの定額料金で支払われていたと。著作権料を月額で支払うのって初めて聞いたけど*1、この業界では普通なんですか? ひょっとしてそのへんが行き違いの元になってるのでは。。。
本当にグッズの売上高の30%を要求したのならふっかけ過ぎでしょう。あまりにあまりなので何かを端折ってるんじゃないかと勘ぐったりしますが*2。単に世間知らずなのすか、あるいは強気な弁護士に煽られちゃったのかもしれないけど。
契約交渉開始が昨年12月というとDVDの発売が決まったあたりかな。グッズの製作はストップとありますが、一時発売中止になったDVDの発売日が再決定した3月末にはしばらくぶりに新グッズ(ヘビバージョンと忍者バージョンのジゴロウ)が出てたはず。ということはこの時点で一度手打ちをしたはずだと思うのですが。。。そうでないなら見切り発車してたってこと? だとしたらまずいよね。
ジゴロウの位置付けについて、「あくまで番組の小道具の一つ」(tvk側)、「固有のキャラクター」(ダイスケさん側)と対立する両者は、ロイヤルティーでも真っ向対立。「正当な対価」とするダイスケさん側に対し、tvk側は「常識外の金額」と主張、交渉は暗礁に乗り上げた。
「あくまで番組の小道具の一つ」というのは言いすぎでしょう。いくらなんでも。こうなるとダイスケ側が高い額で突っ張ったのか、tvk側が低い額で突っ張ったのかわからない。単に黒幕が番組の価値の中心でありジゴロウは黒幕の小道具みたいなものだ、という程度の話なら、まあそういう見解もあるかな*3とは思いますが。。。
「契約を結ばないばかりか、自分の了解のないまま商品化などの契約をグッズ関連会社と次々と結んだ」と批判するダイスケさんに対し、tvk側は「契約書を交わさないのは放送業界ではよくあること。商品化は本人の了解を取っている」と説明。tvk側は最終的に「(ダイスケさんと)協力体制が取れず、視聴者にグッズ販売などのサービスが提供できない状態は好ましくない」と判断、降板を決めた。
内情についてはここまで。
「放送業界ではよくあること」って。出版業界でも雑誌記事とかではよくありますが、その場合はデフォルトで当社規定の印税率で契約みたいな感じのはずだけど。勝手に単行本出して印税払わないとかありえない。放送業界のデフォルトはそのへんどうなってるんだろう。
口約束も契約だけど、証拠が残らないからトラブルの元だし、ダイスケはブログを見る限り個々の契約についていちいち口頭で確認をとったようにも思えないので、口約束があったとしても最初だけで、その時の契約内容について認識のズレがあったのかもしれません。
何より謎なのは、なんで落としどころを見つけられなかったのか? ということ。ダイスケ側が突っ張ったとしても tvk 側は降板をカードにして交渉できたと思うんですけどね。降板すればグッズの著作権料はゼロだしジゴロウの価値は激減してダイスケが売ってるグッズもそうそう売れはしないし、そもそも彼は商標持ってないからバンプレストの商標出願以前に売ってたTシャツ、トレーナー、マグカップくらいしか売れないわけで。どう考えても損でしょう。
ダイスケが慢心して降板なんてないと思っていたとか、何か心情的に許せない部分があって自爆覚悟で突っ張ったとか、そういうことなんでしょうか? あるいは tvk としては業界に弓引いたダイスケを許すわけにはいかないとか、多少率を減らしても前例を作るわけにはいかないとか、そういう理由で落としどころなんて最初からなかったんでしょうか?
いずれにせよ客の気持ちなんてどこ吹く風というのが悲しいです。客のこと考えない商売人が「大人」ですかね? 「大人の争い」っていうよりは「子供の争い」ですよこれ。
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