これはクリプトン側の説明も変なんだけど、小飼氏の言ってることはもっと変だ。
そんなこと禁じる権利は誰にあるのか?
公序良俗に反する歌詞を含む楽曲について - ピアプロ開発者ブログVOCALOIDを用いて楽曲を制作する場合、「VOCALOIDライブラリ使用許諾契約書」に記載されております通り、公序良俗に反する歌詞を含む合成音声を公開または配布することを禁じております(※)。
VOCALOIDはただの道具です (404 Blog Not Found)
ソフトウェアの場合モノを売ってるのではなく使用権をめぐる契約なのでその権利はある(契約自由の原則)。
ただその場合、使用権を停止したり契約者自身による作品の配布を停止させたりはできても、作品の流通を停止できるかというと微妙。初音ミクの声で歌われた楽曲が「初音ミク」の二次著作物になるかどうか。声の成分に関わるデータは著作権が認められるランタイムライブラリみたいなものなのかそれとも著作権が認められないフォントの形状みたいなものなのか?
しかしクリプトン側の説明を見ると、問題になっているのは合成音声そのものの著作権(複製権)ではなくて、合成音声と共に使われるキャラクター画像や商標の使用権を問題にしているように見える。
特にVOCALOIDそのものや、VOCALOID製品のタイトル/キャラクター(「初音ミク」「鏡音リン」「鏡音レン」等)、バーチャルシンガーなどとクレジットされた作品において、それそのものが、いわゆるエロティックな表現や、バイオレンス、グロテスクな表現を、自ら発言/自己表現しているような見え方と捉えることが可能な場合、または視聴者がVOCALOIDやキャラクターのイメージを誤解し、困惑、嫌悪の感じをいだく可能性がある場合、 VOCALOIDやキャラクターのイメージに悪影響があると判断させていただく事がございます。
公序良俗に反する歌詞を含む楽曲について (ピアプロ開発者ブログ)
画像や商標の使用権についてはクリプトン側で以下のように規定している。
ただし、「原素材」や製品イメージを著しく損なうと判断される「二次創作物」の頒布は制限させていただくことがあります。また、公序良俗に反する、若しくは第三者の権利を侵害する「二次創作物」の頒布は許諾いたしません。
画像の二次創作についての弊社のガイドライン (PIAPRO)
A.「キャラクター・ボーカル・シリーズ」は、DTM用の【楽器】として発売しているものなので、商用/非商用を問わず、楽曲制作のために製品の合成音声をご利用いただくことは、製品パッケージ本体で許諾されております。
ただし、"VOCALOID"や"初音ミク"、"バーチャル・シンガー"等、VOCALOID技術やキャラクターを連想させる言葉や画像を用いて、商用を目的として楽曲を訴求することは、製品パッケージ本体では許諾されておりません。
制作した楽曲やCDを【キャラクター】ともに利用された場合は、別途の契約が必要となりますので、詳細は弊社までお問い合わせください。
なお、如何なる場合においても、公序良俗に反する歌詞を歌わせることは禁じられております。詳しくは、『VOCALOIDライブラリ使用許諾契約書』をご覧ください。
Q. VOCALOID「キャラクター・ボーカル・シリーズ」を使って制作した楽曲を公開するにあたり注意すべきことを教えてください。 (PIAPRO)
キャラクター画像が使われた動画などは明らかにキャラクター画像の二次著作物なので画像のライセンスを違反すれば再配布は停止できる。また商標を使用している場合は許諾なしに商標を付けた作品の流通自体が権利侵害なので、流通を停止できる。商標を直接使わない「連想させる言葉や画像」でも不正競争防止法あたりに引っかかるのではないか。
OSSライセンスと商標使用制限
ちなみにオープンソース系のライセンスには商標等の使用制限を利用条件に含めているものはよくある。
4. 「Apache」および「Apache Software Foundation」という名称を、書面による事前の許可を得ずに、このソフトウェアから派生した製品の推奨や販売促進のために使用してはなりません。書面による許可を求める方は、apache@apache.orgに連絡してください。
Apache Software License Version 1.1 (Open Source Group Japan Wiki)
6. 商標
本ライセンスでは、成果物の出所を記述したりNOTICEファイルの内容を複製するときに必要になる妥当で慣習的な使い方は別として、ライセンサーの商号、商標、サービスマーク、または製品名の使用権を付与しません。
Apache Software License Version 2.0 (Open Source Group Japan Wiki)
- 書面による特別の許可なしに、本ソフトウェアから派生した製品の宣伝または販売促進に、<組織>の名前またはコントリビューターの名前を使用してはならない。