HIV感染者数に関するデマ

どうも「日本の普通の若い女性の二割がHIVに感染している」などというデマが流れているようです。

元ネタによると二割という数字のソースはこんな感じ:

喪「俺の親父が総合病院の経営陣の一人なのは知ってたよな」
俺「うん」
喪「で、親父が言うには、今殆どの総合病院や大学病院、小さい病院でも危機意識
  の高い所なんかはみんな、患者に内緒で勝手にHIVの検査をしてるらしい」
(中略)
喪「で、親父の病院や他の知り合いの病院2〜3ヶ所の話を聞くと、毎年とんでも
  ないペースで増えてるそうなんだ。それも加速度がついてる位で。特に20代
  〜10代の女が凄いらしい。今じゃ何と2割位居るんだってさ。自分はエイズ
  じゃないかなんて心配を全然してない、他の病気で普通に診察に来てる女の
  2割がHIV感染者だ。しかもその増加率は年々上がっている。
  もしこの割合を、単純にそのまま都内の病院全部に当てはめたら1万2万
  なんて人数では済まないそうだ。都内だけで10万とか20万とか…もちろん
  単純計算だから、実際の正確な所は解らないけど」
俺「( д)゜ ゜ 2割?普通の女の2割?都内だけで10万20万!?」

( д)゜ ゜感染者率2割というとAIDS問題が深刻な南アフリカ並みの数字です*1。つまり世界的にトップレベルということに。ぶっちゃけありえない。

感染症法に基づく報告を元にした公式な HIV 感染者数は1987年から2004年までの数を累計しても 6560 人*2

上の話では報告ベースの数字には出てこない秘密の抜き取り検査で出した数字ということですが、抜き取り検査的な統計としては献血の血液を検査したHIV抗体陽性率の統計があり、これによると10万人あたり約1.7人(2004年)がHIVに感染していることになります*3献血件数の男女比がわからないのではっきりは言えませんが、女性に限るともっと少ないかも知れません(2004年の実数で陽性92人中4人だけが女性)。

献血HIV陽性率に日本の人口をかけると約2170人。感染者として報告されている人は献血しないので、これを上の6560人に上積みして8730人くらいがAIDSを発症していないHIV感染者数の上限と見ていいんじゃないでしょうか。

もちろんこの数字は日本全国男女含めて。都内の若い女性だけで20万人とかありえないでしょう。まあこういうのもネタにマジレスっぽいんですが、真に受けてる人も見かけるので一応。