- 作者: 志賀櫻
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/12/18
- メディア: Kindle版
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志賀櫻『タックス・ヘイブン ― 逃げていく税金』一応読了。体調の関係でまだこういう本はなかなか頭に入ってこないというのと、税金逃れの手口とかのややこしい部分についてあまり素人向けに噛み砕いて説明する感じではないので、認識が深まったというよりは、とりあえず現場を知ってる識者の意見を聞いたという読後感。
著者は元大蔵官僚でOECD租税委員会で国際的なタックス・ヘイブン対策の最前線に立っていた人。ケイマン諸島とかの「椰子の木の茂るタックス・ヘイブン」も大事だけど、シティ(ロンドン)やニューヨークのオフショア金融センターがヤバい、シティなんかは国際会議で英国代表が顔真っ赤にして擁護するし、みたいな話が面白かった。
金融センターを抱える各国の思惑もあってタックス・ヘイブン対策はなかなか進まないけれど、一方では課税当局がタックス・ヘイブン規制を利用して不条理な課税を仕掛けてくるケースもあるそうで、世の中ややこしい。
日本はタックス・ヘイブン対策はだいぶやってるけどそれでも租税回避は国税当局が把握できてない分も含めて相当あるはず、経済学的には所得税が理想だろうけど世界のどこかにタックス・ヘイブンがある限り理想通りにはならない、消費税を基幹税にせざるを得ない、というのが著者の持論のよう。2013年に書かれた本ということを考えると微妙な気持ちに。
P.S. 今の自分にはこれで十分だったかも。
(初出: facebook)