2014年から使っていたメインPCを丸ごと新調しました。Linux (Ubuntu)で使うということもあり、今回も自作です。
旧PC | 新PC | |
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CPU | Athlon 5350 (4C4T/2.05GHz) | Ryzen 3 PRO 4350G (4C8T/3.8GHz) |
MB | ASRock AM1B-ITX | ASRock B550M-ITX/ac |
MEM | 16GB (DDR3 1600MHz) | 32GB (DDR4 3200MHz, ECC) |
HDD/SSD | WD Red 4TB | SSD 960 EVO 500GB / WD Red Plus 4TB |
OS | Ubuntu 18.04 | Ubuntu 20.04 |
CASE | Cooler Master CENTURION 6 (ATX) | SSUPD MESHLICIOUS (Mini-ITX) |
PSU | SUPER FLOWER SF-500P14FG | Seasonic FOCUS-GM-550 (550W) |
CPU COOLER | Thermaltake MeOrb II | CRYORIG C7 V2 |
CASE FAN | 12cm+14cm (CASE付属) | 12cm x2 (Cooler Master MasterFan SF120M, 山洋 SF12-S4) |
パーツの選定
旧PCのパーツは主にツクモから買いましたが、今回は Ryzen PRO 4000 シリーズがマザーボードとセットでしか販売しておらず、組わせられるマザーが店によって限定されている場合があり、目当てのマザーと組み合わせられるアークで揃えました。一部パーツは他の店の方が安かったのですが、同じ店で買った方がサポートで安心かと思って。
CPU の選定基準は、省電力運用できること、ECC に対応していること、内蔵グラフィックがあること、ということで Ryzen PRO シリーズ一択になりました。8月に最新の 5000G シリーズが発売ですが PRO 版がいつ出るかわからないし、そもそも8月まで待つつもりはないので 4000G で。省電力版の 4000GE は一般販売されていないので、4000G を cTDP 設定で 35W にして運用します。
マザーは UEFI (BIOS)で cTDP が設定できる ASRock の製品を選びました。設定場所がなかなかわからなくて苦労しましたが…
ケースは一時期流行ったキューブ型ケース以来の小型ケースですが、これは置く場所がなかったから。旧PCはそのままファイルサーバーとして運用する予定なので机の上しか置く場所がないのでした。HDD が1台しか載りませんがバックアップ等は旧PCをネットワーク越しに使えばOK。小型ケースは昔冷却能力の低さに悩まされてずっと敬遠してきたのですが、全面メッシュならなんとかなるだろう、水冷ラジエーターも対応してるので最悪水冷化も、と。
設置場所の制約で、幅20cm、奥行き30cm、高さ35cm くらいまで、種類が豊富なATX電源が載る、3.5' HDD が最低1台載る、という条件で在庫があるケースはほとんどなくて選択の余地があまりありませんでした。SSUPD は聞いたことのないメーカーだなと思ったら Lian Li のサブブランドということで、それなら作りもきっと大丈夫だろうと思って決めました。
起動ドライブは NVMe SDD にしました。これはサブPCで天体撮影のデータ一時置き場*1に使っていたものを、SSD を新調したのでお下がりで使い回すことにしたものです。交換前に Windows 用のツールで確認するのを忘れていたのですが、総書き込み量はたぶん8TBぐらい。960 EVO 500GB は TBW 200TB なのでまだまだ使えるはず…
/home 用には WD Red Plus を選択。メインPCは基本的に電源を落とさない運用なので NAS 用です。仮想通貨関係の需要による価格高騰が8TB以上ではまだ続いているので4TBを。NAS 用 HDD は東芝が安いのですが、先日録画サーバ用に使ってみたところ、書き込み時のカリカリ鳴る騒音が予想以上にでかくて結局バックアップ用にしたことがあったので… 作業中のカリカリは気にならないのですが、バックグランウドで動かしたまま寝たり動画観たり音楽聴いたりする時はどうしても気になってしまうので。
電源は、旧PCではファンレス電源でしたが、さすがに Mini-ITX ケースでファンレス電源は危険なので、信頼性の高そうな Seasonic の電源を選びました。このへんはあまり詳しくないので 80PLUS GOLD 以上のものからブランドだけ見て適当に選んでます。
CPUファンも詳しくないのですが、35W 運用とはいえ設定がうまくいかなかった場合も考えて 65W 以上対応で、小型ケースで邪魔にならない高さの低いもので、それでいて騒音の少ないものを選んだつもりです。
ケースファンは耐久性と静音性に期待して Cooler Master MasterFan を1個だけ注文したのですが、実際にケースの小ささを目の当たりにして、これはファン1個ではキツそうだな… と思って急遽サブPCのケースファンの交換用にストックしていた山洋の San Ace 12cm を追加投入しました。
組み立て
組み立ては結構苦労して半日かかりました。それとは別に組み立てと設置のスペースを確保するために部屋を片付けるのに2日かかってますが…
まず小型ケースはやっぱり苦労しました。いきなりケースのパネルの開け方がわからなかったのですが、これは戸棚の扉などでよくあるジュラコンキャッチ?式の突起を穴にパチッとはめ込むタイプでした。説明書が入っている箱がケースの中にくくりつけてあって、開け方を調べるために説明書を見ようと思っても開けないと説明書が取り出せないという…
部品の組付け方法が独特なので何をするにも説明書の確認は欠かせません。それでも組付けの順番や制約条件は自分で判断しないとわからないところもあり、途中まで組んでから一度バラしなおしたりという場面もありました。
ケースの工作精度は悪くないですが、板金が薄めでヤワいところがあり、雑な扱いは禁物という印象を受けました。特に 3.5' HDD を取り付ける部分は剛性が足りない感じ。スペース的には2台取り付けられる余裕はあるのですが、重さ的に厳しい印象。
この 3.5' HDD の取り付けですが、今回は内蔵GPUしか使わないので縦に取り付ける長いグラフィックボードとは排他なのは構わないのですが、ケースの中に水平に渡す金具に片持ちで HDD を吊るす形で取り付けるという独特なもの。ゴム製ダンパーが付いているので単周期の振動は発生しにくいようですが、本当に大丈夫なのか…
こういう仕組みなので 3.5' HDD を使うなら横置きは厳禁です。横置きできるとはどこにも書いてないし横置き用の足も付いてないので、設置は縦置きのみですが、マザーボードの組付けのためにケースを横に倒すのも、3.5' HDD を取り付ける前にやらないとダメです。
ちなみに製造不良なのか作業中ミスでネジ穴をナメてしまったのか、3.5' HDD 取り付け金具のケースに組み付けるためのネジ穴の一つにネジを奥までねじ込めないというトラブルがありました。ケースの構造上ネジの頭が出ているとサイドパネルがはまらないはずなのと、ネジを奥まで締め込まないと金具がぐらついて強度的にも振動的にも不安すぎるので焦りました。
無理やりねじ込もうとしても組み付け用の小さな皿ネジは材質的に弱いようで、あまり力を入れると頭の溝が欠けてきて、これは万事休すか、と思ったのですが、付属のネジにサイズとネジピッチが同じで頭がより大きな平ネジがあって、こちらの方が頭が丈夫そうだったので、これをねじ込んでネジ穴をタッピングすることに成功、その後元のネジを奥までねじ込むことができました。
なお MESHLICIOS は 3.5' HDD を取り付けてもライザーケーブルの取り付け位置を変更することで短い PCIe カードなら取り付けられる仕組みですが、ライザーの取り付け位置が変わるため、マザーのスロットとライザーの距離が離れてしまい、付属のライザーケーブルでは届かなくなり、長いライザーケーブルは別売りです。
ケースファンはフロントに 12cm または 14cm を2個取り付け可能ですが、上述の通り1個で済ます予定が、ケースの中が想像以上に密になりそうだったので2個取り付けました。2つとも静音ファンなのと設置場所がデスクから少し離れているのでファンノイズはほぼ気にならないです。
あとはマザーボードへの CPU ファンの取り付けが苦労しました。C7 は樹脂製バックプレートにボルトを通してナットで締めて固定する方式ですが、バックプレートの穴にボルトがなかなか通りません。一本通すと別の一本が外れてしまいます。CPU のコアがむき出しだった時代なら絶対コア欠けしてたな、というレベルでクーラーがガチャガチャ傾いてましたが、最終的にはかなり思い切って力を入れて無事はめ込むことができました。
UEFI(BIOS)設定
組み立て後、モニターとキーボードとLANケーブルを繋いで起動。一回で無事起動しました。ケースにスピーカーが付いていなくて POST コードがわからないので起動後しばらく画面が表示されなくて焦りましたが、待っていると UEFI の画面が表示されました。メモリも SDD も HDD も認識され、ファンセンサーも正常、CPU温度も異常なし。
デフォルトで自動オーバークロックが有効になっているのですが、トラブルの元なのでメモリのクロックだけは定格に固定しておきました。あとは内蔵GPU用のメモリを 1GB 固定に設定して、起動時 Num Lock を無効に。
最初 cTDP の設定が見つけられなくて困っていたのですが、これは後から姉妹板?の A520M-ITX/ac のレビューに書いてあったのと同じ設定項目があって無事設定できました。アドバンスド / AMD CBS/NBIO Common Options / SMU Common Options で System Configuration AM4 を 35W に変更。
ベンチマーク
Ubuntu 20.04 インストール後簡単なベンチマークを実施しました。ハードウェアの性能比較のためではなく、自分の作業環境がどれだけ改善されたかを確認するため、あるいは設定ミス等で異常に性能が落ちていないかを確認するのが目的です。
まず Octane 2.0 です。Firefox 89.0 の新規プロファイルで測定しました。
旧メインPC | 4376 |
---|---|
新メインPC | 19672 |
サブPC | 17456 |
サブPCは Windows 10 で天体撮影と画像処理、RAW現像、動画編集、ゲームなどに使っているマシンで、CPU は Core i5 6600、GPU は内蔵グラフィック(RAM は 1GB 割当)、メモリは 16GB (DDR4 2133MHz)です。
旧メインPCの4.5倍、サブPCと比べても1割程度速い結果になりました。
次に GPU の性能を見るのに Unigine Benchmark の Heaven。古いベンチマークですが、新しいものは負荷が高すぎて低スペックPCの内蔵グラフィックでは差が分かりづらいのでは思ってこれにしました。
Basic | Extream | |
---|---|---|
旧メインPC | 170 | 53 |
新メインPC | 1498 | 416 |
サブPC | 635 | 172 |
もう一つ Linux オンリーですが OepnGL のベンチマークの GL Mark 2 を。
default | fullscreen | |
---|---|---|
旧メインPC | 930 | 598 |
新メインPC | 6646 | 6038 |
fullscreen は 1920 x 1080 (Full-HD)です。
ECC メモリだと内蔵グラフィックが遅くなるという噂を聞いて心配していたのですが、旧メインPCの 7〜10 倍速いし、Core i5 6600 のサブPCと比べても倍以上速いので、ひょっとしたらこれでも性能出ていないのかもしれないですが、自分の用途には十分すぎるくらの性能は出ているのでこれでよしとします。
結局新メインPCは家にあるPCの中で最速のPCになりました。なお、cTDP が定格(65W)だった時にも同じベンチマークをやりましたが、上の結果とほとんど変わらない結果でした。CPU と GPU 両方負荷かけないと差は出ないのかも。
冷却能力
GPU温度(amdgpu-pci, edge)は Unigine Heaven 実行中に 52℃ まで上昇しました(室温 27℃)。
CPU温度(k10temp-pci, Tdie)は Linux kernel のビルドで全コアに負荷をかけるテストではで 65℃ まで上昇しました(室温 26℃)。まあ許容範囲。
SSDの温度(nvme-pci, Composite)はアイドル時で 39℃、kernel ビルド時で 52℃ まで上昇しました(室温 26℃)。壊れる温度ではないですが、高め。マザー付属のヒートシンクを付けているのですがいまいち冷えていません。
HDDの温度はアイドル時で 36℃、kernel ビルド時で 37℃ まででした(室温 26℃)。
ということで…
ハードウェア自体は問題なく使えそうです。SSD もっと冷えて欲しいですが、作業は基本 HDD 上でやるのでまず問題ないかな。HDD の振動が心配でしたが、今の所問題は起きていません。
Ubuntu 20.04 のインストールと各種ソフトウェアの設定ついては後日エントリをアップします。
追記(2021-07-04): ケースの USB-C 端子について
一つ書き忘れていたことがありました。SSUPD MESHLICIOUS には上面に2つ USB の口がついていて、その片方は Type-C なのですが、マザー側に繋ぐケーブルの先のコネクタが20ピンの小さいやつ(Key A とか Type-E とか呼ばれてるやつ)で、B550M-ITX/ac 上にはこれに対応するヘッダがありませんでした。
マザー上には USB 3.2 Gen1 の19ピンの大きなヘッダがあり、これを20ピンに変換するパーツは1500円程で売っていますが、ヘッダは1つしかなく、Type-A の方に繋いでしまっています。ということで、ケーブルを繋ぐ先がなくて、ケースの Type-C は飾りになってしまいました。
PCIe 拡張カードで Type-E を増設できるやつがあるのですが、背が低いのでブラケットを外してスロットの摩擦だけで固定して無理やり組み込めるかも?でもそうまでしてフロントの Type-C 使いたいかというと…