ハックルさんとヤドカリ

この流れなら言える! と思ったので書きます。

はてな村民なら皆既にご存じのこの騒動。

200万部を越えるベストセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称「もしドラ」)の著者である岩崎夏海さん(はてなでの通称はハックルさん)の激白。色々衝撃的で、心動かされるエントリでした。

「ぼくは本を出す前も出した後も変わってないのに」というのは、「もしドラ」以前の彼の日記を読んでいたはてな村民としては大いに頷くところです。あの頃のエントリから感じられた鬱屈したエネルギーは、衰えるどころかますます暗い輝きを増すばかりです。

だからこそ衝撃的なのです。あれだけ成功しても変わらないのか、と。成功ってなんなんだろう、と。

もちろんこういう話って物語や寓話としてはよくある話なんですが、そういうのって負け犬の僻みみたいなバイアスもかかっているのだろうと思っていたところ、こうやって本物を目前にすると、やはり胸に迫るものがあります。

で、ここからが本題なのですが、この騒動を見て思い出した物語があるのです。あらすじは、だいたいこんな感じ:

あるところにヤドカリがいた。ヤドカリは誰よりも大きくなりたいと願い、大きな貝をみつけては引っ越してを繰り返してどんどん巨大になっていき、願いは叶ったと思われた。しかしある時ヤドカリは巨大なほら貝と遭遇する。耐え難い敗北感を感じたヤドカリは再び貝殻を脱ぎ捨ててもっと大きくなろうと絶望的な努力を試みるが、結局力尽きて失意のうちに息絶えた。そんなヤドカリの亡骸を漁師が見つけ、人々はその大きさに驚愕する。どうしてここまで大きくなったのか、と。。。

この短編を見たのは確か中学の期末テストだか何かの国語のテストの問題文です。試験中にも関わらず僕はかなりの衝撃を受けて、手が止まってしまいました。肥大する自我、満たされない欲望。これは自分のことではないか? 自分の未来なのではないか? と。

試験が終わった後も何かに酔ったようなフワフワした感覚が残っていたのを憶えています。なのですが、、、

肝心のこの物語の出典を忘れてしまったのですね。ネットをやるようになってから何かの拍子に思い出す度に検索してみるのですが、未だにそれらしきものが見つけられません。かなり有名な作家の作品だったような気がするのですが…

そんなわけで、この作品に心当たりのある人はコメント欄で教えてください。

よろしくお願いします。

追記: 「宿借りの死」という作品らしい?

複数の方からの御指摘でどうやら志賀直哉の「宿借りの死」という短編ではないかということでした。

ネットすげー。ていうかずっと青空文庫で探してたんですが志賀直哉ってまだ著作権切れてないんですね(1971年没)。とりあえずAmazonで「小僧の神様」(講談社青い鳥文庫)の古本を見つけたので購入してみました。

ありがとう!そしてありがとう!>ハックルさん