2ちゃんねるの読み方

[id:rna:20050126#p1] の件でお返事(記事後半)が。2ちゃんねらー(に限らないけど)のメディア不信を論じた結論には僕も納得。むしろこの結論を言うために2ちゃんのスレをサカナにした文章ということならよくできてるかなぁとは思うのだけど、亀井氏の動機は2ちゃんねる分析とか2ちゃんねる批判への反論というのがあるので、そういう意味だとちょっとなぁと思いました。

亀井氏の言う「2ちゃんねるの機能と形式の特徴」というのが、たまたま参加したスレ住人のパーソナリティに依存しない2ちゃんねるという場の特徴だと言えるのか、また、他のネットメディアとは違う2ちゃんねる固有の特徴なのか、という部分でも納得しがたい部分がありました。

スレを仕切るコテハンに注目するのはスレの読解のブレを減らすメリットもあるけど、一方でそこから見える「2ちゃんねるの特徴」はコテハンのパーソナリティのバイアスがかかってしまうと思います。そのへんはたくさんのスレを読み解いてバイアスを相殺していけばいいのかもしれないけど。

以下いい機会なので僕が感じてる「2ちゃんねるの特徴」についてメモ。

亀井氏がとりあげた「@海無し八潮」氏は素直で反省的で煽り耐性がある人のようで、スレを仕切っても受け入れられやすいタイプだと思います。確かにこういう人がアクティブに発言しているとスレのクォリティが上がる、そこまでいかなくてもスレが荒廃しにくい、ということはあるでしょう。でも「2ちゃんねるの特徴」という意味では彼のような人じゃないとスレをコントロールできないほどカオティックである、という点なんじゃないかと思うわけで、彼の作った流れ自体は「2ちゃんねるの特徴」とは言い難いと思います。

というか、この災害スレに見られるような実況による相互扶助みたいなのは2ちゃんねるじゃなきゃいけないという要素は少ないんじゃないか。むしろ普通のBBSなら余計な煽りとかなしでスムースに流れるかもしれないとも。問題は参加者の数で、2ちゃんねるの場合とにかく人が多いので情報が集まる、情報が集まるから人も集まる、という循環で場の活気が維持されて、このあたりは2ちゃんならではでしょうか。

しかし、そもそもなんで人が多いのか、特に何もないときでも大勢人がいて、何か起こったときに集まる最初の頭数が多くなるのはなぜなのか。この部分で僕は2ちゃんのネガティブな面を直視せざるを得ないんじゃないかと思います。要するに2ちゃんねるは他の場所では言えない事(顔や名前を隠さないと言えないような事)が言える場であるというのが集客力の基礎になってるんじゃないかと思っています。

以前高木浩光さんが Winny がなぜうまく機能するかという話をしていましたが、似たような仕組みが2ちゃんねるにも働いているのではないかと。

市民の安全を深刻に害し得る装置としてのWinnyより:

放流者を特定できる機能を備えたWinnyのようなシステムを発表したとしても、ほとんどユーザがつかず普及せず、その有効性も確認されなかったと予想される。その理由は次の通りだ。まず、そのようなシステムでは、違法コンテンツが流通することはほとんどなく、合法コンテンツばかりとなる。Winnyがそうであるように、P2P方式の大型ファイルの共有システムでは、検索に時間がかかるうえ、ダウンロードも途切れることもあって、いつダウンロードが完了するかわかったものではない。サーバ・クライアント方式なら即座に目的のファイルを探せ、即座に一定の速度によるダウンロードを開始できるのに比べると、ユーザはイライラするだろう。ましてや、コンテンツが有料だったりすれば、怒りさえ感じて、サービス提供者に苦情を言う人が出てくるに違いない。

つまり、Winnyが検索やダウンロードの効率が比較的悪いにもかかわらず、それでも大量のユーザの確保できたのには、そこに「超」魅力的なコンテンツがあったという事情があるからだ。その魅力とは、言うまでもなく、本来有料のはずのもの、他の方法では入手が困難なもの、そんなものが存在するとは普通知られていないようなものがそこにあったからだ。



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