- 作者: 中原伸之,藤井良広
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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「この点はミルトン・フリードマンさんも賛成してくれたのですが、権力の正統性ということでは、現代社会では選挙で国民に選ばれた政治家が最も正統性を持っています。だから選挙で勝った政党が政府を組織して、外交や経済運営を担います。
一方、中央銀行の持つ権限は、日本ならば日銀法で規定されます。法律は選挙を経た政治家が構成する政府・国会によって実現されるのです。その意味で日銀の権力は、直接的な政治とは異なって、国会から委嘱された間接的なものなのです。したがって、その組織が直接的な権力である政治によってコントロールされるのは先進国なら当然のことなのです。ただ、先進国が歴史的に味わってきた過去の苦い経験から、政府・政治の暴走によって経済が混乱しないように、金融政策運営については一定の独立性を与えたほうがいいとなっているわけです。
要するに中央銀行の政府からの独立性というのは、先進国の長い経験の中から生み出された一つの知恵です。政府の悪政に引きずられずに、物価安定を守る金融政策を貫くためなのです。したがって、独立性が尊重されるかどうかは、金融政策のパフォーマンス、実績によります。実績を上げられなければ、中央銀行の独立性は極めて危険な状態になるというのが私の考えです。
p131-132
日銀は俺のもの!かわいいかわいい俺の日銀…
(初出:メディアマーカー)