性犯罪者の死刑について(『なぜ少女ばかりねらったのか』)

『なぜ少女ばかりねらったのか』(ASIN:4794208820)の著者、レイ・ワイアは死刑については否定的です。元々イギリスに死刑がないこともありますが、以下のような理由も述べています(p320)。

犯罪者をしばらく檻のなかに放っておいただけで実社会に復帰させるのは、まったくばかげている。また、犯罪者を処刑するという思いつきも無益なことだ。それが可能として提案でもしようものなら、虐待者に殺される子どもが激増するだろう。どうせ被虐待児の証言一つで死刑にされるなら、その子を始末すればいい、それで死刑になっても同じことだ、と。

これは、なぜなんでも死刑にしないのかという一般的な理屈でもあります。一般的には重罰化の抑止効果と毒皿効果(?)のトレードオフがあるのでしょうが、再犯を繰り返すようなタイプの犯罪者(レイはこの手の犯罪者の再犯性は非常に高いと主張しています)なら抑止効果はあまり見込めないということなのでしょう。