[id:rna:20050328#p1] のコチニール色素の件について、畝山さんが [id:uneyama:20050329#p5] で解説してくださいました。どうもありがとうございます。紹介された資料を元にまとめるとこんな感じ。
- どちらもコチニール(エンジムシ)の体から抽出したもの。色素成分はカルミン酸。
- コチニール抽出物は純度の低いもので、色素以外の成分が大半を占める。
- コチニール抽出物は成分が一定でないので毒性試験の対象にならない。
- カルミンはより純度が高いもので、色素の含有率が高い。
- カルミンは成分がわかっているので毒性試験の対象になった。
アレルギー反応について:
- アレルゲンテストでカルミンが陽性になる人がいる。
- カルミン陽性の人がカルミンを含む食品(カンパリなど)が原因でアナフィラキシーショックを起こした例がある。
- カルミンアレルギーの一般人口での罹患率は不明。
- アレルギー患者集団での調査は低い罹患率を示唆している。
- アレルゲンは色素(カルミン酸)そのものではなく不純物のタンパク質。
アレルギーなので既にカルミンを含む食品を食べ続けていてなんともない人は基本的に大丈夫。ただしアレルゲンは不純物の方に含まれるので製造元によってアレルギー反応が違うこともあり。
一般人口での罹患率が不明というのはデータ不足ゆえですが、そのくらい症例が少ないわけで、他の食品アレルギーに比べるとずっと稀なものだと考えられます。
畝山さんも触れていますが、毒性試験済みにこだわるなら合成の添加物の方が成分がはっきりしている分安心。合成着色料が嫌われて天然もののコチニール色素が使われるようになった事を考えると皮肉なものです。
コチニール色素はただの着色料で特に栄養になるわけでもないですから避けても別に問題ない*1のですが、食品アレルギーは他にもたくさんあるわけで、避けて別の物を選べばそっちの方がリスクが高いかもしれません。地雷のないところを避ければ地雷を踏む確率は上がるのです。
*1:他の食品アレルギーだと栄養との兼ね合いがあるので避けなくてよいものを無駄に避けるのはかえって有害。