混合診療解禁問題がわかりません><

まじでわからんのですよ。

混合診療解禁に賛成する人の意見で、「選択肢が増えることはいいことではないか」というものがある。規制改革会議の言う選択肢は、「家を売って高度医療を受ける」か「死ぬ」かの選択肢なんだけど。ちなみに、家を売れない人には「死ぬ」という選択肢しかない。必要な医療は家を売らなくても受けられるようにするのが一番いいと思うけどな。

合診療解禁で保険診療が縮小されるのはガチ (NATROMの日記)

混合診療禁止でも家を売れない人は死ぬのでは? それどころか家を売れる人でも入院費や検査費まで自費になる分で足がでるので死ぬはめに。そういう小金持ちの人は、単純に混合診療が解禁になれば(他の環境が変わらないとしたらだが)命拾いする人も出てくるだろうし、貧乏人が死ぬのは解禁しようがしまいが一緒だ。

「必要な医療は家を売らなくても受けられるようにするのが一番いい」のは当然だが、混合診療禁止の今でもそうなってないのだから、そうなってない理由は混合診療とは関係ないところにあるのでは?

そうではなくて他の環境が変わる、つまり、混合診療解禁→保険診療の質の低下→今まで保険診療で助かってた人が死ぬ、という流れが必然的に起きるということであればわかるのだが、この筋道を辿る必然性がよくわからない。

そのようなことを言ったら、「混合診療解禁がすぐに保険診療縮小につながるわけではない」と反論された。なるほど、可能性としては、混合診療を解禁しつつ、効果的な保険外診療を順次保険診療に組み込んでいくという制度もあるかもしれない。エビデンスが十分確立していない高度医療はまず保険外診療で行い、評価が確立し、コストが下がってきたところで保険適応を認めるのだ。

よさげに思えるが、まずそのようなことにはならない。そもそも混合診療を解禁しましょうと言っている人たちの目的は、保険診療を削って自分たちの取り分を増やすことにある。削れるだけ削ってくるに決まっているじゃないか。しかも彼らは、その目的を隠していないよ。むしろ、公的保険財政が改善するからこそ、混合診療解禁は良いと言っている。
合診療解禁で保険診療が縮小されるのはガチ (NATROMの日記)

ここがよくわからない。保険診療が自然に減る分、つまり混合診療解禁で自由診療の治療法を選択した人が、それができなかったら受けていたはずの保険診療の治療を選択しなかった分だけ保険料が浮く、という意味で保険財政が改善するのなら別に何も問題はないのでは? 保険診療が減ってる分はそういうことではないの?

「削れるだけ削ってくる」というのがわからない。減るという話であって削るという話ではないのでは? というか、その削れる分というのは混合診療禁止なら削られずにすむところなの? うーん。

そういえば mojimoji さんとこでこんなのがあったっけ。

おそらく、これでは分かりにくかろうから、反対側から述べてみよう。つまり、混合診療を認めるとは、効果の期待できる治療法に保険を適用せず、お金を支払える人だけがアクセスできる治療法のままにしておく、ということになる。くどくなるが、もう一つ、逆に言おう。もし、効果の期待できる治療法にはちゃんと保険が適用されているならば、混合診療で広がる選択肢とは、効果が十分確認されていない実験的医療ということになる。そのような選択肢をわざわざ広げる必要があるだろうか。

 逆に、仮に混合診療が認められるならば、既に有効性が確立した治療法でも、財政状況を言い訳にして保険適用が先送りになる可能性がある。そうなれば、格差社会が医療においても貫徹する、ということになるだけである。
混合診療を解禁してはいけない(モジモジ君の日記。みたいな。)

つまりこういうこと?

  • 元々保険診療を無理矢理にでも減らして保険財政を改善したい人たちがいる
  • 彼らは高価でかつ人気の出そうな新治療法への保険導入はサボりたい
  • しかしそれでは世間体が悪すぎるので混合診療を解禁して間口を広げる
  • 貧乏人は助からないが、小金持ちはそれで助かるので保険導入圧力が減る

この場合貧乏人に必要なのは混合治療禁止じゃなくて新治療法への速やかな保険導入だ。それがないと混合診療解禁があろうがなかろうが関係ないのでは? 速やかな保険導入が保証されるなら混合診療は解禁したほうが助かる人は増えるはず。

 だから、結論としては、混合診療は原則として認めてはならない。混合診療にしてでも使いたい治療法があるならば、できるだけ速やかに治験等必要な手続きを進めて、できるだけ速やかに保険適用にすればいいのである。そして、それがきちんとできているならば、混合診療に頼る必要はまったくない。

 問題は、混合診療を認めるかどうかではないのだ。問題は、十分に効果が確認されたはずの治療法が、いつまでも保険適用にならないことである。それは、医療行政の遅さ・怠慢であり、そのプロセスの不透明さである。

混合診療を解禁してはいけない(モジモジ君の日記。みたいな。)

他は納得いくのだが「混合診療は原則として認めてはならない」はわからない。原則としては認めるべきでは? 保険財政の悪化と保険導入プロセスの欠陥があって初めて混合診療禁止に歯止めとしての意味が出てくるのだから。歯止めと言っても小金持ちの命を人質にして貧乏人の命を守ろうみたいな構図だし、相手が突っ張ったら小金持ちもろとも死んでしまうわけで、かなり気持ち悪い話だ。

結局のところ混合治療の是非は疑似問題なのだとしたら、原則反対と言うよりは原則賛成なのだが、マトモに解禁すれば保険財政が悪化しますよ、保険財政なんとかしないとね、という話をするほうが、ある意味現行制度の被害者でもある人たちと対立せずに済むし、建設的なんじゃないかと思うのだけど。

財政をなんとかしない限りはいくら綺麗事言ったってババ抜きのババを誰に回すかという話にしかならないわけで何もかもが虚しい。