ジュニアアイドルと自己責任

遅くなりましたがトラバのお返事も兼ねて。

この年頃(11〜12歳)の子供にグラビアの仕事などについて自己決定能力があるかどうか、ある程度あるのではないか、という話だと理解しました。僕の「自分がどう撮られてそれがどう見られるのかわかってないまま撮られている」というのが曖昧な書き方だったのですが、あの記事はもっぱら事前に十分な同意がとられてないケースがかなりあるという話をしたつもりでした。

まず、自己決定、自己責任という考え方についておさらい。

結果を自分の責任として引き受ける(自己責任)かわりに、自分の道を自分で選択(自己決定)する権利は(自由主義的な立場では)誰もが持つ基本的な権利です。しかし自己決定といっても自分が本当は何を選択しているのかわからない状態での選択まで自己責任でというわけにはいきません。「何を選択しているのかわからない」状態になるのは以下のような状況です。

  • その人に選択肢についての十分な情報が与えられていない
  • その人が選択肢についての情報を十分吟味するだけの能力がない

元記事で僕が言いたかったのは専ら前者、つまり適切な情報開示が行われていないという話です。もっとも業界の内情をよく知っていれば何が起こりうるかは予測可能なのですが、業界の人たちが相手が事情を知らないのをいいことに事を運ぶというやり方をする場合は「自己責任」とは言えないでしょう。

で、子供の自己決定能力についてですが、10歳前後だとまだ交渉力がなかったり周囲の期待に過剰適応してしまったりということが多いので、ある程度覚悟が要求される仕事はするべき(させるべき)ではないと僕は考えます。アイドルという仕事の場合「仕事に対する評価=その人の人間としての評価」のようになってしまいがちですから、売り方によってはかなりキツい仕事でしょう。

子供の自己決定能力をどう見るかは、法律(民法労働基準法少年法児童ポルノ禁止法等々)にも反映されているのだけど不勉強なのでそのへんは言及しません。誰か法律に詳しい人が何か書いてくれるとありがたいのですが。

ちなみにジュニアアイドルって労働基準法違反じゃないの? って声もたまにききますが、たぶん演劇子役等についての例外規定が適用されて合法ということになっているのだと思います。

Q 現在、10歳の児童を舞台の子役として使うことを考えているのですが、どのような手順を踏めばよいでしょうか?
A 労働基準法第56条は、「使用者は、児童が満15歳に達した日以後最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。」としており、原則として義務教育修了前の児童を使用することを禁止していますが、映画の製作又は演劇の事業に限って、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、所轄の労働基準監督署長の許可を条件に使用することができることとなっておりますので、これらの許可が必要となります。
厚生労働省: よくあるご質問

その他参考資料:

演劇の事業では子役が使えないと困るのでこういう例外規定があるのですが、グラビアの仕事とかもこれに含めるのはちょっと無理があるような。。。

追記: ジュニアアイドルは自営業?

年少者の労働時間制限(労働相談Q&A)から孫引き:

厚労省知名度がある歌手やタレントなど「主役」については、「労働者よりも自営業者の色彩が強い」との理由で、現状でも午後8時以降の出演を認めていると説明。
「端役は強制的に働かされる可能性がある」と反対の姿勢を崩さない。
「特区で子役の出演時間延長なるか 担当相と厚労省が激論」 asahi.com 2003年9月2日

子役や歌手などでも、厚労省が「歌唱、演技などが他人によって代替できず、人気がある」などを基準に判断し、「自営業者」とみなした場合は労基法の規制は受けない。「モーニング娘。」などがこれにあたる。
「演劇の子役出演、夜9時までOK 厚労省審議会が答申」 asahi.com 2004年11月16日

自営の方がよっぽど大変なんですが。大人でも。なんか法の網の目に無理矢理通してる解釈のような。。。



idトラックバック: