[校内暴力]「なぜ『キレる小学生』が増えるのか」(読売社説9月28日) に対する finalvent さんのレス [id:finalvent:20050928:1127872784] より:
ずばり言うわよ、「なぜ『キレる小学生』が増えるのか」って、先生が子どもをぶっとばさないからだよ。
ほほう。気になって小学校での体罰事件の発生件数を調べてみた。
年度 | 体罰件数 | 校内暴力件数 | 児童数 |
---|---|---|---|
H10 | 177 | 1,528 | 7,663,533 |
H11 | 186 | 1,509 | 7,500,317 |
H12 | 202 | 1,331 | 7,366,079 |
H13 | 241 | 1,465 | 7,296,920 |
H14 | 264 | 1,253 | 7,239,327 |
H15 | 249 | 1,600 | 7,226,910 |
H16 | 260 | 1,890 | 7,200,933 |
増えてるじゃん体罰。ていうか一見してあんまり相関なさそうですが。。。
体罰の発生件数というのは正確には「体罰ではないかとして問題とされ学校で調査した事件」の発生件数なので、体罰が問題とされていない時代にはむしろ少なくなるということは考えられるけど、そのへんはここ10年ほどは考えなくていいと思う。報告ベースの数字なので不正確ということもあるけど、それは校内暴力の統計にも言えること。特に小学校の校内暴力については平成9年度から始まった調査なのでまだ安定していないかもしれません。
参考資料:
- データからみる日本の教育(2005) 資料編 (文部科学省)
- 2000/12 生徒指導上の諸問題の現状について 第9章 体罰 (文部科学省)
- 2001/12/25 生徒指導上の諸問題の現状について 第9章 体罰 (文部科学省)
- 2002/12/25 生徒指導上の諸問題の現状について 第9章 体罰 (文部科学省)
- 平成16年12月 生徒指導上の諸問題の現状について 4.体罰 (文部科学省)
- 2005年9月22日 生徒指導上の諸問題の現状について (文部科学省)
- 平成16年版 青少年白書 第1-5-21表 不登校児童生徒数の推移 (内閣府)
追記: こんなん出てきたけど。。。
お返事 [id:finalvent:20050929:1127948912] が。僕は校内暴力の増加に体罰は関係ないんじゃないの(少なくとも体罰が減って校内暴力が増えたという話はなさそう)って話をしてるんですが。で、こんなん出してこられても。。。
それ校内暴力じゃなくて学級崩壊の話ですよね。仮に学級崩壊が増えると校内暴力も増えると仮定しても、上の記事は学級崩壊の状況ではある程度の体罰が必要(なのに禁止されてるのでやりにくい)って話であって、体罰しないから学級崩壊が起きたって話はしてませんね。
セルフコントロールできない子が就学してきて今までと同じ指導が通用しなくなったのが学級崩壊の始まりという話*1からすると、学級崩壊は元々学校の先生のせいではありえないんですが。
追記: Re: [id:finalvent:20050929:1127992377]
とりあえず finalvent さんの「ずばり言うわよ」がデータ的な裏付けがあって言ってるわけじゃないというのは確認できたので僕的には十分なんですが。。。
1997年頃から言われ出した学級崩壊というのは子供が落ち着かなくて「授業がなりたたない」という現象を指す言葉で、教師が無理にまとめようとすると暴力沙汰になることもありますが普通は校内暴力とイコールじゃないです。
(あと単純に、校内暴力はあるけど学級崩壊してません、というのがあり? 学級崩壊しているけど校内暴力はないというは想定できるけど、その先に校内暴力があると考えるのが自然ではないのか。)
校内暴力で荒れてる状態では授業成立は困難でしょうが、それをいわゆる学級崩壊と同一視するのは無理があると思います。四国新聞の座談会の教師 A の学校がどっちだったかは判然としません。いずれにせよ2002年〜2004年にかけてのマクロな現象を1998年のある学校のある教師の証言(それも断片的な)で説明するのは無茶な話とは思いますが。
ところで、学級崩壊の延長に校内暴力があったと仮定して、読売社説が問題にしたここ数年の校内暴力の増加の内実がそれだとするなら、学級崩壊自体は体罰禁止が原因ではないわけだから問題の校内暴力増加も体罰禁止が原因ではないことになるんですが。。。*2
体罰の是非について言えば一方で極端な忌避があり、一方で体罰が抑制を欠いた暴発的なものになって児童が死傷するなどの問題も過去にあり、単純に否定/肯定という話では済まないのは事実でしょう。
もっとも体罰で校内の治安を改善できるとしても教育的効果がどうかは疑問なんですが。教師の目の届かないところでは相変わらずというのではあまり意味がないし。家庭や地域と教師の間の信頼関係が希薄な状態では子供も親も昔みたいに体罰を「愛の鞭」的には受容できません。そんな状況では体罰はハイリスクローリターンな指導法になってしまうわけで、体罰が効くような社会環境を整えるか、今の社会環境に合わせて体罰以外の有効な指導法を考えるかという話になるのでは。体罰の運用規則の整備で解決という話でもないと思う。