喫煙リスクの件

小谷野敦氏が山形氏にかまってビーム! でも今のところスルーされてる模様。さすが「もてない男」! その小谷野氏が「なお以下を参照されたい。よく分からないがだいたい分かる。」*1としているのがこれ。

えー、これって結局言いたいことはこういうことですよね?

  1. 他の要因とのリスク比較が必要
  2. 疑似相関かもしれない

1 についてはその通り。他のリスクとリスク対策のコストパフォーマンスを比較し優先順位をつけるべき。喫煙リスク対策のコストパフォーマンス(対策コストあたりの寿命の伸び)についてはどこかに資料があったような。。。ちょっとみつからないのでとりあえずリスク比較について。

リスク比較が必要といいますが、それを言うなら喫煙のリスクは肺ガンだけじゃないわけです。全要因合わせた死亡リスクは化学物質の中では桁違いに高い(肺ガンだけでも十分桁違いだけどそれよりさらに桁違い)。*2 他の化学物質の規制状況を考えるとタバコだけ放置するには相当の理由が必要だと思うけど、説得力のある理由ってあるんでしょうか。

また、肺ガンのリスクの中でも最大のリスクはやはり喫煙とされています(受動喫煙は比較的低リスク)*3。唯一最大は間違いだけど、最大ではあります。

2 については具体的に何との相関で疑似相関になってるか言わないと意味がないです。で、これ。

そうでなければ国別の喫煙率と平均寿命(肺がんの死亡率は高い)の間に関係がないことの説明がつかない.

そんなのいくらでも説明つくのでは? まず「肺ガンの死亡率は高い」って言ってますが、全死因中を占めるガンによる死亡の割合は先進国でも3割程度です*4。また、肺ガンになるのはある程度年齢いってからだから、元々他の要因で平均寿命が低めの国では相関が小さくて当たり前。だいたいそういう国は乳児死亡率が高い*5せいで平均寿命が低いのだからほとんど相関しなくても当たり前。

追記: お返事が。

[id:amai_oyatsu:20051007] 。なんか、むちゃむちゃすれ違ってる気がするんですが。とりあえず平均寿命の件はある国の時系列データの話ではありません。縦軸に平均寿命、横軸に喫煙率をとる平面に各国をプロットしても、きれいな右肩下がりの分布にはならない(相関しない)*6のが当たり前という話をしたつもり。cross-section で相関しないっていうのはそういうことですよね?

*1:その表現がわけ分かんないよ!

*2:環境汚染のリスク評価p9 (中西準子・益永茂樹・松田裕之『演習 環境リスクを計算する』(岩波書店)からの引用)。

*3:肺がんのリスクファクター (国立ガンセンターがん予防・検診研究センター予防研究部)

*4:世界の統計 第15章 死因別死亡数の割合 (総務省統計局)

*5:『人口統計資料集(2005年版)』世界の主要地域別乳児死亡率:1950〜2050年 (国立社会保障・人口問題研究所)

*6:男子の分だけ実際グラフ作ってみたけどやはりバラけました。